長年埃をかぶっていた、年代ものの鉄製折りたたみベッド(スイス製)を、リビングで日当たりのよい窓辺に設置した。ここが退院後しばらくの私のスペースとなる予定。この機会に、過去に勉強してきた美術史をもう一度おさらいしようと、手の届くところに関係本を並べている。特に日本美術史をおさらいしたい。『まんが日本美術史』は「美術史って面白そうだけどなんかめんどくさそう」と興味はあるけど手が出ない方におススメ。図書館にあったら手に取ってみてください。
さあ!!
ついに放送スタート!!いきなり𠮷原炎上!(ちなみに映画『吉原炎上』もすごい作品だった・・・あれはもっと後の時代設定だけれど)
すでに初回から蔦谷流星重三郎に心臓を鷲づかみにされているが、今後次々と江戸のアーティストたちが登場するかと思うと震えてくる。脚本家さんは「JINー仁ー」や「大奥」(よしながふみ原作版)の方なので、期待しかない。出演キャストも私が好きな方ばかりなので本当にこの1年はワクワクする日曜日になりそう。昨年の『光る君へ』も源氏物語ファンの私には楽しかったし、タッキーの『義経』以来の大河ドラマ完走だったけれど、初回の蔦重であっという間に記憶の彼方へ。しかし、浮世絵にも源氏物語の「見立て絵」があるし、江戸の民たちも源氏物語は江戸版で読んでいただろうし、やっぱり文化は繋がっているんだな、と実感もする。
そして、当然これよ。
トーハクでの大型展覧会!!!!今回の大河ドラマは江戸のお話なんだから、江戸でやらなきゃ話にならん。個人的には歌麿さんらの「美し過ぎる」美人画や、彫師や摺師の職人技を間近で見られることをとても楽しみにしている。
さらには、
地元の書店でも、この通り充実の江戸コーナー!!!!
NHKでも関連番組が次々と放映されるので、私はとても忙しい笑。江戸コンテンツの洪水で入院中もきっと楽しめるに違いない。
かねがね、大河ドラマで狩野派の物語など面白いのではないかと思っていた。御用絵師一族の栄華と岐路。時の権力者と絡みながら重厚な美術とストーリー展開になること間違い無し!!と信じているのだが、まさか先に蔦重が大河になろうとは嬉しい悲鳴しかない。横浜流星、ちょんまげも着物の着こなしもすごく似合っている。顔は国宝級、体は武人、水墨画も描けて江戸が似合う男なんて世界広しと言えど横浜流星しかいない。
生まれ変われるならこの頃の江戸に転生したいと本気で思っている私だが、やはり自分にとって江戸時代の浮世絵の存在と言うのはとても大きいということを改めて思い出した。私を日本美術という沼に引きずり込んだのが浮世絵だったからだ。今でも一番好きな絵はこれ。
鳥居清長画。『美南見十二候』九月
品川場所の遊女たちのオフタイム。これをボストン美術館展で見たのが最初の衝撃だったと記憶している。鳥居清長の描くすらりとした女たちが、どことなくボッティチェリの描く女性に共通するものを感じたり。この作品は特に、夜の海と舟の灯り、そして月が描かれているのが最高に素敵だし、苦界と言われる遊郭業務(しかも吉原よりぐっと格が劣る品川)の合間にホッとくつろいでいる彼女たちの姿態が可愛らしい。窓辺に立つ刹那そうな彼女は焦がれる間夫でもいるのだろうか・・・と、今でも長い時間眺めていられる大好きな作品。ここから私は日本美術への扉を開けたのだった。
その後、大学で美術史を学び、何本もレポートを書き、自分も日本画を描くようになったのだから人生どう転ぶかわからない。浮世絵の画集だけでなく、作家たちの物語や江戸や吉原についての書籍も本棚にどんどん増えていった。浮世絵だけじゃ飽き足らず、絵師たちの肉筆画も見るようになった。そんな時間を過ごしていると、必ずどこかでバッタリ出会う蔦谷重三郎。蔦谷重三郎という字を見るだけでもう横浜流星の顔が思い浮かぶ。ヤバイ。私は浮世絵がメインではあるが、戯作や狂歌なども作中には出て来るようで、自分の知見が広がるのも楽しみだ。幕府内の抗争や版元同士の喧嘩なども期待大。落語を嗜む方々が羨ましい。頭の中で江戸を完全に再現出来る教養と想像力をお持ちだから。お友達のFugu先生が「てやんでい畜生べらぼうめい」って言ってた。POPな日本語である。私はまだまだ勉強が足りん。勉強と言えば、本を娯楽として楽しめた江戸の庶民たちの識字率ってすごいなと感心する。
今年は手術(2回)、歯の治療、退職そして転職、国家資格のための勉強開始、と色々詰め込まれる予定だけれど、江戸パワーの勢いを借りて駆け抜けたい!!