大学卒業式以来、1年5か月ぶりに娘と京都へ行った。私は夏の京都が大好きなので、お盆休みに入る直前に2泊3日で。初めてこだま号のグリーン車を利用した。早く予約すると安い。時間的制約のない旅の場合はとてもいい選択だと思う。小田原から乗れるし、停車駅が多いと言ってものんびりダラダラしているうちに意外とあっという間に着く。空いてて快適だし次回もグリーン車で行こう。
今回も三条大橋近くの宿を手配。三条大橋を渡ると京都へ来たという実感がわく。少しの郷愁も。
着いたその日は、まず老舗日本画材屋さんの「彩雲堂」へ行き、絵具数色と筆巻きを買う。早めの夕食をホテル近くの居酒屋「池田屋」で食べ(その名の通り池田屋跡にあるお店)、その後は夜間特別拝観を開催している高台寺へ行こう、となった。三条京阪から乗って祇園四条で降り、暗くなった祇園を歩く。夜になっても外国人のグループが多い。しかし、私の予想より高台寺までは距離があり、寺の前まで来た時はすでにヘトヘトだった。股関節に問題を抱えている私は歩数が多くなると太ももに痛みが発生する。ま、こういうことも想定して一応折りたたみの杖をバッグの中に忍ばせてある。さあ、初めて使うぞ。少し楽になった。
ちなみに寺へ着く直前に通った路地は、雰囲気が抜群に素敵だった。一般居住地なので撮影はご遠慮ください、と注意書きがあった。これは誰でも思わず写真に撮りたくなるだろう。車両も入れないほど狭くて薄暗い路地に京都の品格そのものを見た気がした。多分、私たちは道を間違えて遠回りをしたのだと思う。だから予想より遠く感じたのだ。
これは、高台寺の入り口の階段を上がり切ったところから振り返った写真。つまり、この門の向こうは長い長い階段なのだ。杖をついて階段を上がるのなんて初めてだったので、なかなかうまくいかず、ほとんど自力で上がっていたように思う。参拝受付に辿り着いた時はうっすらと「この先はヤバいんじゃ・・・」という危機を感じていた。
この時点でじゅうぶん山の中なのだが、とりあえず平地だけでも廻ろうと歩き出す。人はいないし、涼しげな庭園を堪能することは出来た。しかし、順路を辿っていくとオートマティックにさらに登るようにコースが設定されている。しかも、休めそうなベンチひとつ無い。すでに足がぶっ壊れそうになった私は娘にギブアップを伝え、山を下ることにした。
この時点でもう足が動かないということは、今来た道をまた戻るという当たり前のことが果たして出来るのか。。。寺を出たとして、また祇園四条まで戻れるのか。そこからまた電車に乗ってホテルまで帰れるのか。。。いや、予算には入っていないがここはタクシーを利用しないと力尽きそうだ。と考えを巡らせながら、とりあえず来た道をゆっくり戻る。あの長い階段は恐怖でしかなかった。杖をつきつつフラフラ降りる私を、下から上がってくる外国人観光客が器用に避けてくれる。もう足が折れそうだよ!!
やっとの思いで公道まで戻り、もうここで力尽きるかも、という不安と闘いながら寺の駐車場の自販機で水分を補給しつつアプリでタクシーを手配しようとしていると、ちょうどタクシーがやって来た。すぐに停めて乗り込み、三条大橋のたもとのローソンの前までお願いします、と伝える。
その後、無事にホテルの部屋に戻り、ゆっくり風呂につかってのんびりしているうちに痛みは改善されてきた。結局、筋肉の痛みなのだ。今すぐフォームローラーが欲しい。持ってくるべきだった。
高台寺は想像以上にハードだった。寺というのはだいたい階段を登ることになるが、昨年知恩院へ行った時はどうしたんだっけ?あの大きな山門の階段を私は登ったんだっけ?と考えてみると、上の駐車場までタクシーで行ったことを思い出した。今後は無理せずタクシーを使おう。
夏の京都は当たり前に暑いし、歩いていると汗でドロドロになり化粧すら意味がなくなる。でも、この不快な暑さが、ここには住んでいない私には嬉しいのだ。京都にいるという実感を感じられるから。冬も好きだけど、夏のほうがいい。ただ、屋内との気温差が激しいので、想像以上に消耗する。予定を詰め込まないことがポイント。私が毎回三条付近に宿を取るのは、全方位へのアクセスがいいということに加え、彩雲堂やまつひろ商店などお気に入りのお店が近くにあるから。
今回泊まったホテルARUには屋上テラスがあり、東山方面の眺めを見ながらアイスなど食べられる。
東山と鴨川さえ意識しなければ普通の街にしか見えない。
画材を抱えて、大学のスクーリングに通ったことを思い出す。卒業してから、改めて京都は特別な街になったと思う。
次回は、この旅の目的であった村上隆の展覧会について書く。