クルマで巡る「開発好明・ひとり民主主義へようこそ」展

東京都現代美術館にて、高橋龍太郎コレクションのあとに訪れた展示。

開発好明(かいはつ よしあき)氏というのは本名で、現代美術作家、美術活動家らしい。この日まで私はこの方を存じ上げなかったのだが、展覧会を見るとなかなかに楽しいアーティストだ。

このパンフレットだけでもその楽しさを垣間見ることが出来ると思う。

情報量の多いパンフレット。

入場すると、まず鑑賞者は「ウエルカムキット」という青いバッグを渡される。この中には発砲スチロールのブロックやカードのようなものが入っている。なので、展示会場にいる人々はみんな青いバッグを持っており、それだけでも楽しい。

最初のエリアには、開発さんのものだと思われるマックやガストのレシートや、ATMでお金を引き出す時に出るあの票の拡大カラーコピーが展示されており、ただのレシートなども拡大するだけで何となくカッコいいモダンアートに見えてくるから不思議だ。

発砲スチロールのブロックは、みんなで投げてアートを作ろうということらしく、投げるブースがあった。なるほど、適度に積みあがった発砲スチロールは現代アートのオブジェに見えてくる。実際、開発さん自身も梱包材としての発砲スチロールで作品をたくさん構築している。

青いバッグを持って会場内を巡り、ぼーっと休んだり、時々何かに参加させられる鑑賞者たち。

途中、教室のようなエリアもあり、この日も開発さん自身が「なんかする先生」として、「三角をかこう」というワークショップが行われていた。子供たちは大喜び。他にも、カードを1枚引いて、そこに書いてある質問に対してYES, NOで答え、YESなら青、NOならピンクの付箋を貼るとか、「参加型展覧会」になっており、大人でも楽しい内容。

この展覧会のテーマは「ART IS LIVE」。私は100%同感している。これは大学でいちおうちゃんと勉強した成果のひとつだと自負しているが、美術館で作品を見たり、コンサートで音楽を聴いたり、絵を描いたり何かを造ったりすることだけがARTじゃないのだ。生きることそのものがARTであり、ARTとは生きること。ARTは常にそこにあって、自分と共に生きている。そのように考えている。だから、何もアーティストじゃなくたってみんな日々ARTを生み出しているのだ。この展覧会は、おふざけしているように見えて、実は本質を表現していると感じ、なかなかに手ごわい展覧会だったと思う。

入場時に渡された青いバッグを返すとトレーディングカードがもらえるというので、最後に娘と返しに行って、違う山からカードを1枚ずつ引いてみたら同じカードだったのが唯一残念。トレード出来ないじゃん。

先に観た高橋龍太郎コレクションと並び、やっぱり日本の現代アート好きだ!と再認識した一日だった。