お国違えばこんなに違う

イスラエルの取引先と1日以上連絡がつかなくてソワソワしていたが、返事が来てホッとしている。皆さん無事で安全だということだった。良かった!私が仕事上で知るユダヤ人スタッフは、みな賢くスマートでユーモア溢れる魅力的な人たちだ。そして、前職がイスラム圏内でのプロジェクトだったのでムスリムたちと仕事をし、さらに身内にムスリムがいる私としては、普通のムスリムたちは穏やかで優しい人たちだと知っている。これまで世界13か国に滞在した経験から言えば、宗教や人種が何であれ、慣習が何であれ、根本的な「人間として」の在り方は全世界共通だと思っている。私ら庶民が旅や滞在で出会うのは現地の庶民がほとんどなので、そう思うのかもしれない。よく「あ、こういう人日本にもいるわー」とか「なんか友達に似てるなあ」とか感じた。嫌な奴もいれば、いい奴もいる。

イスラエルがどうしてこんなことになっているか日本人にはなかなか実感出来ない類の問題だが、勉強することは出来る。私のおすすめ本はこれ。

岩波ジュニア新書から『ヨーロッパ思想入門』岩田靖夫著

ジュニア向けだと侮るなかれ。中身は非常に濃く、そこらへんの新書より専門的だ。本のタイトルでえ?ヨーロッパ?と思うが、内容は「ギリシア」と「ヘブライ」の2章だてで、「始まりはどうだったのか?」がよくわかる。

さて。

Amazonオリジナルドラマ『Modern Love』シリーズが結構好きなのだが、先日アムステルダム版を鑑賞した。話自体はそれほど印象に残るものはなかったけれど、エピソード2「抱擁」に登場する乗り物が私の目を釘付けにした。

劇中では「カート」と日本語字幕に訳されていたこの乗り物、ご老人や身体の不自由な方が乗る物として登場する。何という愛らしさ!! しかも体が不自由でも乗れるとはいかに!?

ネットであれこれ調べると、どうやらCANTAという名前らしい。チャットGPTによれば、

Canta LX は、オランダの自動車メーカーである Waaijenberg が、1995年に開発した2人乗りの車です。この車は、障害者用に作られたもので、ペダル操作ができない人でも運転できるように設計されています。Canta LX は、1.10メートルという幅があり、自転車道や歩道などでも使用できるため、オランダでは移動手段として分類されています。また、運転免許証が不要です 。
Canta LX は、カスタマイズされた座席やコントロールなどを備えており、ハンドコントロールも利用可能です。また、「Ride-in Canta」と呼ばれるモデルでは、車いすのまま乗り込むことができます 。
Canta LX には、標準のガソリンエンジンモデルのほかに、ドイツ市場向けに電気自動車が設計されており、現在販売されています。

とのこと。さすが交通先進国オランダ。オランダと言えば自転車大国というイメージだけど、こういうところもぬかりないなあ、と感心する。これなら乗りたい!近所でおじいちゃんおばあちゃんが乗っているのをたまに見る電動カートは嫌だ!そもそも、あれ危なくない?日本では道路の特性上CANTAのようなカートが歩道を走るのは現実的じゃないと思うけれど、移動手段の選択肢があるのは素敵なことだ。

これまでオランダとは縁がなかったので訪れたことはない。いまだにオランダと言えばサッカーの小野伸二のイメージなのだが、パリやフィレンツェ、あるいはロンドン、ベルリン、、と言った他の欧州の都市を超える魅力を感じなかったからだ。もちろん、美術的観点からは多くの巨匠がそこにいた。超大御所だけでもファン・エイク(アルノルフィーニ夫妻の肖像)、お父さんブリューゲル(バベルの塔)、レンブラント(夜警)、フェルメール(真珠の耳飾りの少女)、ゴッホ(ひまわり)と、美術史を彩る早々たるメンツ。だが残念ながらあまり関心がなく、「本物が見たい!」と思わなかったことが、これまでオランダを訪れていない最大の理由だ。

ただ、今回改めてアムスの町の景色を見るに、やはり都市の中に水があるっていいなあと思った。家々の窓が縦に高く、開放感がある造りなのもまた素敵。旅行より日常が良さそうな街だ。劇中で話されるオランダ語を聞いていると、時折英単語みたいな言葉も聞こえてくるので、英語出来れば旅行は問題なさそうだし。

ド派手な出来事が起こるわけでもなく、淡々と日常が過ぎて行きつつも少しだけ変化が見える映画やドラマが最近とても好きだ。こないだ30年ぶりに『バグダッドカフェ』を観たが、やはり良い映画は時代を感じさせない。Calling Youは永遠の名曲・・・殺伐としたアメリカの砂漠に響くバッハの平均律も相変わらず美しかったし。

そろそろまた海外に行きたくなってきた。。。でも航空運賃がコロナ前の倍くらいになってるので、これまでヨーロッパに行けた予算でもアジアまでがせいぜいってな感じだろう・・・