制作の記録・2022年8月

講評、採点された課題は気が向いたら公開していくことにした。よく「水彩画ですか?」とか「油絵ですか?」と聞かれるけど答えは「日本画」です。そう言うと皆さんピンと来ないようなので、紹介がてら。まあ画歴6年の拙い作品ばかりなのであるが、自分の記録としても残しておこうと思う。

今回は先日無事に提出、講評の終了したF40号について。

最初の1枚。小下絵とかエスキースとも言う。でもこれは本当にただのイメージスケッチというか、ほとんどメモのレベル。

輪郭線を薄いグレーで描き写してから、下塗りスタート。何となくモチーフの色に近い色を何となく配置。

もう少しはっきり塗り分け。後で黒く塗り潰すところも色をのせていく。

夜景と車内を描いてみる。

人をはっきり描いてみる。全体的に薄っぺらいので修正。

完成。

タイトル『今夜はブギー・バック』、1000mm×803mm、高知麻紙、岩絵具、墨、黒箔

制作期間およそ1ヶ月。

「都会の渋滞」がテーマ。モデルは元夫の若い頃。車内は現在の私の愛車であるZを参考に。ネタ元の写真は20代前半、私と彼が東京都内で暮らしていた頃のもの。スチャダラパーfeat.オザケンの『今夜はブギー・バック』が流行っていた頃だ。黒の質感の描き分けに挑戦。ドアの内側のファブリックは粒子の荒い岩絵具を重ね、ステアリングの革は墨も使い、インパネの樹脂は黒箔を貼った上から削った。車内は「クルマだと分かればいい」くらいに考えていたのであまり真面目に描いていない。インパネを普段から見慣れている皆さんには不自然に見えるかもしれないが。その分、顔に注力。ちょっとコワモテのシュッとした顔が好みなのだとしみじみ痛感した。わかります?コワモテだけど暑苦しくない顔が好きなのです。。。

シャツは当初黒の予定だったが、あまりにも黒い部分が多いので白いシャツに変更した。少し明る過ぎたかな、とも思うが、先生が「これ以上暗くすると不穏な感じにもなるので、これで正解かも」とのこと。渋滞中の気怠い感じ、退屈で窮屈かな空気感を表せたらいいなと思って制作。

あとで見返した時に気恥ずかしくなりそうだけど、それも記録のうち。今回の課題では大きな画面に描くことの楽しさがわかった。現在は2倍強の100号に取り組んでいるが、小さな画面にちまちま描くより性に合っているのかも。

日本画でおもに使われる「岩絵具」はその名の通り、天然のものは岩から作られているし、人工のものもガラスなどから製造されているため粒がある。その粒の大きさによって同じ色でも番号が分かれている。この粒を動物性の膠(にかわ)と水で溶いて、画面にのせていく。めっちゃ手間がかかるけれど、その手間自体が楽しい。

よく「日本画って水墨画ですか?」と聞かれるのだけど、水墨画は中国の「国画」で、それが日本へ渡って来たので、ピュアな日本画とはまたカテゴリが違うと思う。だが知人友人に芸術の趣味を勧めるとしたら、水墨画を勧める。水と墨と筆と紙さえあれば始められる気楽さに反比例して、ものすごく奥深くレベルが高い表現世界だから飽きないはず。私は学校で水墨画のクラスを受講して自分には無理と痛感し、早々と諦めた。

これからもクルマに関係した日本画を描いていきたい。クルマそのものではなく、ストーリーの一部として表現出来たらいいなぁ。精進します。

オザケンversionでどうぞ。

「制作の記録・2022年8月」に2件のコメントがあります
  1. 「おぉ~!すげぇー!」と心の中で感嘆の声を出しました。とても良いです。きっと渋滞だから前の車のブレーキランプが明るく前から照らしているんですね。凄い。制作過程が見られて良かったです

    1. ひろさん
      ありがとうございます。そうなんですよ、前のクルマのブレーキランプの赤、というのは重要な要素でした。
      赤く照らされた人の横顔って美しいなといつも感じます。
      制作過程はざっと並べるとスムーズですが、実は行ったり来たりがかなりあるんです。
      ひとつ前の作業に戻したい!となった時に、写真は役に立ちます。

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