はじめての本格DIY

生まれてから今まで一貫しているのは「手先が不器用」だということ。道具を使うことが苦手。ゆえに何かを直したり、切ったり、料理したり、くっつけたり、組み立てたり、、、という作業は総じて苦手だし、これまで出来るだけ避けて生きてきた。組み立て式の簡単な家具だって、出来上がってみたら斜めだったりグラついていたりする。思えば小学生の頃から家庭科や技術科は到底無理だった。図画工作と何が違うのか、と言われても何かが違うのだ。ちなみに彫刻刀も苦手なので、3D表現は出来ない。道具を使いこなせる器用さというか技術って、絵を描いたり楽器を弾いたりするのとはまた違う能力だと思う。

しかし、そんな私もついにDIYをする羽目になった。本格と言えるかどうかはわからないが、私にとっては鋸を持った時点で「本格」なのだ。

作ったのはベニヤパネルを2枚。

私は「麻紙(まし)」という日本の紙に絵を描いている。いちおう日本画を学んだ身としては、麻紙に岩絵具や水干絵具などの日本の画材を用いて描く=日本画という認識であるので、麻紙がなければ始まらない。その麻紙を木製パネルに張り付けて描くので、パネルが必要なのだ。

紙は濡らすと伸びるので、パネルに張りつけるのも水で濡らしたままの状態で行い、乾くと収縮してピッタリ気持ち良いパネルが完成する。

しかし昨年末、描いていた作品のパネルが反り返るというトラブルに見舞われた。紙の収縮にパネルが耐え切れずに捻じれたのだ。そんなことが!?と茫然とした。日本の紙はすごい。で、描きかけの作品をパネルから泣きながら剥がし、それを新しいパネルに張り替えるという辛い作業をやることになった。

糊で貼りついた紙を湿らせて、手作業でゆっくり剥がしていく。心が折れる。。。

パネルから剥がした後。新しいパネルに張り直すので、裏に水をかけ湿らせてある。描きかけの作品を剥がすという恐怖はトラウマ級だが、何事も経験。でも完全にモチベーションはなくなる。

この後、水張りテープというものを使って何とか胡麻化したが、このために新しいパネルを購入しなければならないのは何となく腑に落ちず(高いしね)、私の先生も自作しているし、今後の経験のためにも自分で一度作ってみようと思い至った。

とは言っても、出来るだけ色々道具を扱うのは避けたいので、まずはホームセンターでカットしてもらうところから。今回はM30号サイズ(910mm×606mm)を2枚作ることにした。

厚さ2.3mmのベニヤ板と、21mm×21mmの角材。木工用ボンド。クランプ数個。念のための鋸。M8の蝶ナット4組。8mmのドリルビット。これらをホームセンターで調達。ナット類はスタッフのおじさんに聞きながら選ぶ。

作り方自体はシンプルで。

とりあえずまずは形にする。ボンドでくっつけてクランプで押さえて放置。(あとでわかることだが、この時点ですでに2つの失敗をしている)

乾いたら真ん中に補強のための桟(さん)をくっつけて、乾燥放置。

オプショナルとして、桟をつっかえ棒形式に入れる方法もあり、これは師匠直伝で教えてもらった。サイズが大きくなればなるほど、なるべくあらゆる方向に桟をかましておくといいらしい。

そして、最難関がパネルにボルト穴を通すことだ。これは先生に手伝ってもらいながらやった。なぜボルトが必要かというと、大き目の作品を描く時なんかは「割パネル」と言って、複数のパネルを連結して大きいサイズにする方法がある。私の場合は電車で自分で運べるサイズのマックスと、Zに積める大きさマックスが30号くらい、ということで、30号サイズを2枚(足りなければあとから足すことも出来る)ということにした。ちなみに大学の卒業制作は100号だったので、1310mm×810mmのパネルを2枚繋げたものを用意した。これが画材店で特注で44,000円もしたのだ。自分で作れば絶対にかなり安い。

ここで、3つのミスに気付く。

1.ボルト穴は、パネルを組む前にあらかじめ開けておいたほうが作業が楽だった。

2.ベニヤ板と角材のエッジは揃えたようでもクランプに挟んだ時点で少しズレるので、途中で微調整が必要。

3.角材のサイズと蝶ナットのサイズをちゃんと考えよう。今回は21mm×21mmの角材を使用したが、それに8mmのボルトはちょい大きかった。

どれも致命的なミスではないものの、次回はちゃんと留意しておかなければならない。

パネルはただの四角形なのでシンプルだし、今回やってみて自分でも「まあ何とか出来そう」な作業であるということはわかった。ただ、あとから買ったパネルを見てみると、やはりプロのお仕事は違うと思った。価格が高いのにもちゃんと理由があるのだ(当たり前)。

そんなわけで、これからこのパネルに描いていくわけだけれど・・・まだ何を描くか決まっていない・・・

「はじめての本格DIY」に2件のコメントがあります
  1. すごい!描かれる絵も、機会があれば見たいです。
    僕、中学の技術の授業はそこそこいい点取れてたんですが、家庭(女子のみ)の方が好きで、今もすそあげは自分でしています。アイロンもかけます。でも、針は持ってもノコギリは怖い。
    僕もやってみよう、と思います。ちょうど長い板をたくさんあげると言われ、今日、軽トラで取りに行くところです。納屋に本棚を作ってみます。できるかわかりませんが、ノコギリと釘なども買いに行ってきます。
    ※記事がアップされたとメールが届きました。

    1. とさまさま
      全然すごくないですよーー縫物のほうがすごいですし、本棚を最初から作るのもすごいです!
      私もアイロンは好きですよ!アイロンとか洗い物とか、きれいにする過程は好きです。
      皆さん普通にDIYしたり、クルマのメンテをしたり、すごいなーと思います。知識と技術と経験の3点セットですもんね。
      鋸は買ったものの、なんかもうあの音がダメなんだとわかりました・・・・笑

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