クルマで巡る櫛かんざし美術館

クルマで巡る美術館第14回は、「櫛かんざし美術館」(東京都青梅市)です。

 

前々から一度訪れてみたいと考えていたこちらの美術館。ついに念願叶って鑑賞することが出来ました。青梅に住むルーテシアのお友達が奥多摩でオフ会を主催してくれましたので、それに便乗して行ってきました。

湘南からは圏央道で順調なら45分ほどで日の出インターまで行けます。意外と近い。そこから線路沿いを走る予定が、なぜか峠道に。おかげでコンビニで一休みするプランがひとつ減ってしまいました。ナビが近道を案内したようです。しかし、交通量も多くないので怖い思いをすることなく、無事に開館と同時に到着。

駐車場は美術館の前と、道路を渡った向かい側の坂上にあります。美術館の前はバス専用スペースもあったので、一緒に鑑賞するお友達が先に駐車していた向かい側にルーテシアを停めます。もちろん無料です。もちろん全部ルーテシアです。

ニッポンの風景によく似合うフランス車

 

桜の意匠の櫛が目印

館内は美術品のみ撮影禁止です。入場料は大人600円。学割500円。

最初の展示室では、江戸時代からのヘアアクセ、櫛、笄、かんざしが素材別に陳列されています。髪型の紹介もありました。鼈甲のシンプルなもので始まり、それが蒔絵、象牙、翡翠、銀、貝、陶器、ガラス、セルロース、はてはアルミまで!
そして、どのアイテムも、施された見事な絵や透かし彫りはため息が出るほど。ビーズ使用のものもありました。私は吉原が大好きなので、いかにも遊女がコレクションしていそうなアクセは興味津々だったのですが、それらがリアルに感じられてとても感激しました。かんざしの先は耳かきになっていて、髪からかんざしをすっと抜いて客の耳を掻いてあげる。何て色っぽい仕草。と想像したりしていたのですが、実情は「八代吉宗によって、贅沢が禁じられた時代に“これは飾りではない、耳かきです”と言い訳できたため」(江戸の女子図鑑より)だそうです。

渓斎英泉 浮世風俗美女競 万点水蛍秋草中(部分)

いくら言い訳のためとは言え、細いほうはまだ実用的な大きさですが、大きなほうは・・・客に刺さりそう。

一方、装飾過多のびらびらかんざしは、あまり興味を惹かれませんでした。野暮ったい感じがして。

さらにもうひとつの目的であった「矢立」(小さな墨と筆などが入った携帯用筆記道具)も、シンプルなものから銃や楽器の形をした変わったものまで多種多彩なコレクションを鑑賞。昔の絵師のように、矢立をささっと出してスケッチし始めたら最高にカッコいいだろうなぁ、なんて思いながら。

そして、メイクポーチも!
化粧筆、ミニチュアの香水瓶、紙、鏡などが今の化粧パレット顔負けの充実度でコンパクトにまとまっていて非常に驚きました。正直使いにくそうだけれども、今の女性だって持っているだけで気分が上がるパレットってありますよね。私もつい最近衝動買いしましたけど、昔の女性もきっとそうだったんだと想像します。しかし、どの分野でも実用的じゃないものに美が宿ることは多々ありますねね。

文明が進んで技術が発達して大量生産が可能になると、やはり失われていく美があるのだと実感。江戸から大正あたりまでの品を見た後に現代のアイテムを見ると「何て安っぽいんだろう」と感じてしまうほど。しかし、女性のヘアスタイルや価値観もどんどん変化していくものですから、ただ単に私の懐古趣味なだけかもしれません。文明開化ってものすごい変化だったんだろうなぁ。

なお、こうしたアイテムの数々は美術館のブログでイメージして頂けるかと思います。

櫛かんざし美術館の館長ブログ

最後の展示室では書道展が開催されていました。胎毛の筆で書かれているそうです。確かに書体がふわふわした柔らかい作品が多かったと思います。書は残念ながら専門外なのでおとなしく鑑賞してきました。

さらに、こちらの美術館からの眺望もとても風流。
訪れたのは酷暑の日でしたが、涼しい館内から眼下の風景を見ていると気分だけはひんやりしてきますね。私たちが普段知っている多摩川とは思えないくらいの清流に見えます。ラフティングを楽しむ人々で賑わっていました。

女性向きの展示内容ではありますが、日本のものづくり、工芸技術に興味のある男性でもじゅうぶんに楽しめると思います。理屈抜きで美しいものがたくさんありますし、小さな美術館なのでドライブの途中でも立ち寄りやすい。

同行した友達が「今から数百年後には、平成時代の遺物として何が展示されることになるんだろうね」興味深いことを呟いていましたが、この大量消費の時代、何がニッポンの美の遺産として残っていくのか。ちょっと考え込んでしまいました。

さて、奥多摩の美術館はこのあとにもうひとつ、続きます。

sponsored link

クルマで巡る櫛かんざし美術館” への2件のフィードバック

  1. DRIVER "A" のコメント:

    楽しんでくれて良かった。でもあんなラフティング騒いでたじゃん(笑)(笑)

    矢立はオシャレよね。漫画に出てくるものをリアルに知ってるとまた楽しい。

    切なくなるのは櫛やかんざしに当時使っていた人の気持ちが詰まってるからじゃないかな。女性の思いやら贈った男性の思いやらが詰まってる。ペアのもあったよね。

    あはは、残念ながら美人画を描くつもりはないから(笑)後世には残らんよー

  2. U5 のコメント:

    素敵な奥多摩時間の旅に連れてってくれて、ありがとう^^
    大人になってから初めて訪れた美術館が、ここで、そして貴女と過ごせて良かったわ^^
    矢立!
    今読んでいる江戸時代漫画に、ついに登場!あ、これこれ!知ってる!矢立よね!
    ってね(笑)
    櫛もかんざしも全く興味なかったけれども、何故か心がじーんとなったわ。
    切ない感じ。なんでだろ(笑)?

    Aさんも百年後、平成の美人絵師として飾られてね♪
    そしてあたしがモデルになるわ♪

現在コメントは受け付けていません。