BLOG レッツ・ベーコン!

美術館や大学の卒制展なども閉館、中止や延期になっている。気が緩むと社会の負の連鎖沼に引きずられて行きそうな恐怖を感じるので、これまで「興味を持ってはいたが鑑賞する機会のなかった作家」の作品などを、出来る限り画集やデータベースで鑑賞することに心を砕いている。こんな時にinternet archiveはわりと使える。NYのメトロポリタン美術館のコレクションもここで見られるが、いきなり春画が出て来て面食らった。

現在の私は、映画『攻殻機動隊』シリーズ、つまりアニメ版もハリウッド版も含めて、のサントラを聴きながらフランシス・ベーコンの作品を眺めるのに嵌っている。彼の絵は、私の心に平穏をもたらしてくれるのだ・・・

『ベラスケスによる教皇インノケンティウス10世の肖像にもとづく習作』1953

 

ああ!変態万歳!

もともと彼の作品は、この「叫ぶ教皇」だけしか知らなく、しかしこの絵一枚のインパクトたるや相当なもので、ある授業でその場で自画像を制作することになった時に、真っ先にこの絵が浮かんだ。

ベラスケスが元ネタであることは有名だが、どうしてこうなった!とニヤニヤしながら私も叫びたくなる。静止画なのに脳に突っ込んで来るスピード感と、上下に引き裂かれそうな人物造形がその時の私の精神状態に同調したのだろう。「電気椅子に座る教皇」という感じだが、捕われの囲いのように見える黄色も効いているし、ずっと眺めていたい作品のひとつだ。部屋に飾りたい。

改めて彼の画集を眺めると、私が絵画表現において好物である三幅対(3点セットもの)構成が多い。そして人物の顔の素晴らしさには、感嘆のため息が出る。なぜこのような色と造形が生まれてくるのか。破壊と言うより混乱、融合、衝動、そして美が見える。何と言うか、この人の絵は言葉で表現すること自体が困難だ。人間が本来踏むべき順序を無視して超えてくる何かを持っている。

ゆえに、眺めていると心がとても落ち着く。

間違いなく嫌悪感を抱く人もいる類の作風なので、ここにはあえて紹介しない。もしご興味を持ったらGoogleさんに出してもらってください。彼自身がゲイだったせいか、男性を描いたものが圧倒的に多いのも私には魅力。そして、彼の人生そのものも相当なカオスで興味深い。

とは言え、私の周囲でフランシス・ベーコンの絵を好きだと言う人は、一人しか知らない。つまり私だけだ。

本物と対峙する機会を楽しみに待ちたい。