クルマで巡る富士スピードウェイ国際レーシングコース

3か月前にここへやって来た時は、BMWのイベントに付き合いで来た。自分では1秒たりとも運転していない。そもそも他人のクルマだったし、パーキング内のイベントだった。今回は自分の愛車で走る。FSWの本コースを走行するのは今回で4度目。とは言ってもそのうち2回はルノー祭りでのパレードラン、1回はエコカー杯だった。パレードランはそもそも手を振りながら走れるような超スローペースだし、エコカー杯はスローな上に頼もしい同乗者がいたのでほとんど他力本願だった。なので、実質今回が初めての「体験走行」だ。

来たぜ富士スピードウェイ!!自分のクルマで!!!(これ大事)

まさにオープン日和。12月の空気が一番好き。

パドックをうろうろするのは楽しい。普段見かけないクルマがたくさんいる。私のZがミニバンに見えるくらい、低い低いクルマたちがたくさんいた。基本的に低いクルマはカッコいい。でも時々昆虫ぽいのもいる。ルーテシア4R.Sも1台だけいた。ジョンシリウス。白っぽいホイール。つい「知ってる人かな?」とか思ってしまう。あとは圧倒的に背の低いポルシェが多い。まあ、平日にサーキットを走るような方々だ。国産車だとマツダが一大勢力になっている模様。

さて、今回の走行は夕方から。受付も遅い時間なので、仕事は半休してやって来た。会社からだと西湘バイパスを国府津で降りて北上、246経由で現地入り。天気に恵まれ、凍結の心配も杞憂に終わった。地元からいちばん近いサーキット、それが富士スピードウェイ。246から見る東名高速が好きだ。山の中腹においてちょっと近未来的なところが。

パドック内に駐車し、オリヅルでコーヒータイム。眼下を疾走する車両をぼんやり眺める。遠くからでもわかるのってやっぱりポルシェ。ヤリスもやたら速いのがいた。2台仲良く走っていたので双子みたいだった。よくあんな風にクルマをコントロール出来るなぁ、と感心しながら眺める。

時間になったのでミーティングルームへ。一応、走行前には簡単な講習をやってくれる。担当のお兄さんは赤いスープラの先導車ご担当。ナイスガイ。無線機を渡される。これで色々とガイドをしてくれるようだ。別グループの先導車はグレーの86。

どんな層が参加しているのだろうか。ちらっと会場内を見回してみると、若いのか若くないのかよくわからない層が一番多いようだ。多分、ああ見えて実は20代だろう。残念ながら女の子にはモテないだろう。しかし恋人がクルマ、ってのは悪くないし、自分で好きにいじれるのも今のうちだと思うので、我が道を進んで欲しい。モテたいと思った時がブレ時なのだ。己の道を突き進んだ先にモテは訪れる。他に家族連れが2組ほど。カップルが1組(うろ覚え)。熟年のおっさんお一人様が数名。

ふむふむ。でもこういうのって頭で理解してても実際走ると忘れてるんだよなぁ

講習の後で、お兄さんに最後尾にしてもらうようにお願いしに行く。車種を確認されたので「Zロードスターです」と答えると「ああ、マルーンのですね」と。人の口から「マルーン」という響きを聞くと何だか嬉しい。茶とかじゃなくマルーン。
そして、屋根を開けてもいいか確認。風の巻き込みが大丈夫なら開けていただいて結構です、とのこと。もちろん開けますよ、開けるに決まってるじゃないですか。

集合場所に整列をすると、「絶対サーキット初心者じゃないだろ」ってな風貌のクルマたちがウヨウヨいる。このイベントは「誰でも装備無しで自家用車で参加出来る体験走行イベント」だと理解して参加したが・・・ちなみにルノー車はいなかったと思う。ミニバンもSUVもいない。軽自動車は速そうなのが数台。

この日は晴天だったので、予定通り「ホームストレート全開走行」のプログラムからスタート。1台ずつ、ホームストレートを駆け抜けさせてもらえるのだ。

全開走行前待機中。良い景色だな~

私の前は、シュッとした青年が運転する左ハンドルのポルシェ様。しかも女の子連れと来た。見た感じ先ほどの若造組と年代は同じだろうが、明らかにモテそうなタイプだ。そう、世の中は不公平。このポルシェを「島先生」と呼ぶことにした。島先生が視界の彼方に消えると、私とZの番になる。スタッフさんが緑の旗を振ってくれたらスタート。

このセリフを呟く時が来た。

楠みちはる 『湾岸ミッドナイト』

1本目、最初は恐る恐るペダルを踏み込む。徐々に加速。Zは本当にさりげない。音楽で言えばクレッシェンドのような加速をする、と言えばわかって頂けるだろうか。力みとか、力強さをまったく感じない加速感。涼しい顔で速度を上げて行く。ホームストレートは長い。まだいける!とさらに踏み込む。しかし、迫りくる1コーナーが怖い。メーターチラ見170km/hくらいでパナソニックブリッジを通過したので、アクセルを緩めて減速に入った。この時点で私自身の人生最高速だったが、Zは余裕みをたたえ、ベタ踏みすらしていない。2本目は早めにもっと踏み込もう、と心に誓う。

ストレート走行後の待機場所にて。速そうなクルマいっぱい(ドライバーが速いかは知らない)

2本目は1本目より早めにペダルを踏み込む。ものすごい音がするでもなく、Zは普通に加速していく。ピット前の金網がすごい勢いで視界の隅を流れて行く。メーターチラ見で178くらいから一瞬だけ180にタッチ。満足して減速。パナソニックブリッジから何度かに分けてブレーキングして、1コーナーに落ち着いてゆっくり進入。

加速しながら、首都高を300km/hで徘徊する湾岸ミッドナイトの世界はあり得ない狂気の世界だと真面目に思った。100km/hで走る一般の車たちが止まって見える、というのはきっとそうなのだろう。にしても、ベタ踏みせずともポーカーフェイスでグー―――っと加速していくZの大人な余裕の感じは何なのか。これが「大排気量NA」と皆が呼ぶもの?

悪魔ではない私のZ

高速域で走っても、風の巻き込みなどはあまり感じなかった。と言うより、屋根が開いてる開いてないはもはや関係ない意識状態だったのだと思う。

全開走行後は再びストレートに移動し、グリッド撮影のお時間。ここぞとばかりに皆さんすごいカメラを持って外へ。確かに夜のサーキットは素敵だ。愛車と撮るなら都内のなんちゃら街よりイケてるよね。気持ちはわかる。

もちろん全プログラムをフルオープン走行です

静寂感がたまらない

後ろの「M POWER」がすごい気に入らないけどZロードスターってやっぱりシルエットがシンプルかつエレガント

空の色のグラデーションが南フランスのようだ

グリッド撮影の後は、周回走行に入る。すっかり日も落ちた。
1セット目は最後尾。屋根開けて颯爽と、夜のサーキットの雰囲気を楽しみながら走る・・・ハズだった。しかし、その思惑は無残にも打ち砕かれた。

暗い。

一部に照明があるとは言え、このコースを詳しく把握していない私にとってはすべてが出口の見えないコーナー、つまりブラインドコーナーになっていた。この時点で「楽しむ」なんて余裕はなく、「安全に走る」に気持ちがチェンジ。前日まで「クリッピングポイントを意識しながら走ってみよ」とか考えていたことなど吹っ飛んで、前方にわずかに見える島先生のテールランプを追うのに精いっぱい。しかしシケインあたりからそれも見えなくなり、私の前に闇夜が訪れる・・・そんなんで3周くらい走らせてもらえる。1コーナーはもう怖いから最初から覚悟の減速ありきだけど、アドバンコーナーとシケインの最初のコーナーでブレーキングするとピピっと音がした。「ドリフトしたい時はこのボタンをオフにしてね♪」とせんせいに教わったあの装置か。私の体は横に放り出されそうになったが、Zはしっかり曲がってくれた。こうやってクルマの挙動を覚えていくのだろうか。私は永遠にこの装置をオフに出来そうにない。

照明で部分的に路面が照らされているせいか、タイヤ痕やタイヤのカスなどが浮き出されて見える。縁石に乗り上げないことだけに注意して、無事に1セット目は生還。収穫は御殿場の夜景。等間隔に並んだ東名の灯りが美しかったこと。

さらに2セット目は列の走行順を逆にすると言う。そう言えばそんなことを講習で言ってた気がする・・・って、私が今度は一番前か!?まあ、先導車スープラの後だからライン取りは真似すりゃいいのね~、と思いながらスタート。さすがは先導車、いい感じの距離で先導してくれる。離れすぎると速度を落としてくれたりする。ブレーキポイントもわかりやすい。しかし、ふとバックミラーを見ると、島先生がイライラしているのがわかる!!車間距離ぴったり詰めて来るし。同乗の女の子に「くそっ、Zおせーよ!!」と毒づいているのが聞こえてきそうだ。遅くてごめ~ん、と思いながらも、私は自分の安全第一なので動じず。これは誰でも参加可能の体験走行なんだから、その見事なクルマでぶっ飛ばしたかったらスポーツ走行枠へ行ってね、と思いながら最終コーナーへの上がり坂を抜ける。ちなみにこの日はすべてATモード。ギアチェンジにまで意識がいかないと思ったから。

全部で6周くらい走って、プログラム終了。スープラのナイスガイがにこやかな笑顔で無線機を回収に来た。しかし、けっこう疲れていたので「アリガトゴザイマシタ」と答えるので精一杯な体たらく。パドック内はすっかり暗闇に包まれており、いったん駐車して屋根を閉め、トイレを済ませて帰路についた。

Zがやって来て2か月と3週間。まだまだこの子のことを知らない。日常の中での姿は毎日乗るたびに少しずつわかってきたけれど、それだけがすべてじゃないクルマだとわかって買ったのだから、非日常での姿も知りたい。そんなことを考えて今回このイベントに参加してみたのだが、今度は明るい時に走りたい笑。そして、サーキット走行はたとえ体験走行であっても、隣にインストラクター欲しい。私はゲームもしなければこれまでレースなども観て来なかった。若い頃に無茶をして学んだ経験もない。だから、隣に乗って「はいブレーキ」「はい加速」「はい切って」とか教えてくれる人が欲しいと心底思った。だって、走る、曲がる、止まるという基本操作でさえ、普段の日常乗りとはタイミングがズレる。なんか時間の流れ方がおかしいのだもの。

改めて、サーキットを走る方々に尊敬の念を抱いた。素人でもプロでも、すごいことですよ。街でイキっているミニバンも、こういった体験走行で走らせてみればいいのに、と思う。さっきもバカそうなお兄ちゃんが運転するエスティマに無駄に煽られたわたくし。

次は走るとしたらナリタモーターランドかなぁ。1台ずつ走れるし学びが多いはずだ。まあ、迷わずに行ければの話だけど・・・(農道に突っ込んだことは未だトラウマ)。

明日から2泊3日のステント交換入院をする。その前に走れて良かった。思えば、大変だった治療を終えてこうしてまた愛車でサーキットを走れて嬉しかった。あの景色を自分のクルマから見られて、私は幸せだ。

6 Replies to “クルマで巡る富士スピードウェイ国際レーシングコース”

  1. せんせい〜
    まだまだあのスイッチをオフにする勇気も度胸も経験もございません。。。
    もっともっとZと仲良くならないと!
    今のところ、私の最高の癒しとなっているので、Zのポテンシャルを知っていくにはまだまだまーだ時間がかかりそうです。

  2. いいね〜、行動力😊
    楽しそー。

    ダメだよ、まだスイッチ切っちゃ😅
    「あー、ここで働くな」って、働く時がわかるようになってから切りましょうw。

  3. リーパーさん
    試せたのかどうか・・・まあ初回なので無事に終えられただけ良かったのかもしれません。
    サーキットのいいところは飛び出して来る自転車歩行者原付がいないことですね!私は逆にまだ山道は未経験です。
    きっと山道もビビりそうです・・・
    508でもコペンでも山道は楽しそう!

  4. サーキットでZの性能が試せたのは貴重な体験ですね。ルーテシアの時にサーキット走らなかったのですが、508は向いて無さそうです。俺の腕の範囲だと山道はたいしてペース変わらず走れはしますが。

    暗くて見えないのは問題ですね。
    ライト周りならスタイル損なわずにリファイン出来るかも?

  5. ひろさん
    病気をすると行動力がつくんですよ笑。今やらずにいつやるの?って常に自分に言い聞かせています。
    それはいいとして、ひろさんもたまには四輪のほうで、是非こういった体験走行にも行ってみてください。主催がショップとか団体とかではなくサーキットなので、
    良い意味で気楽です。
    島先生はモテると思いますが、多分本物の島先生はもっと紳士だと思いますね。
    サーキット走行は色々なリスクがついて回るので気軽に出来るものではないですが、やはり「モータースポーツ」と言われるだけあり、
    スポーツなんだなあと走行後に感じました。要はヘトヘトだったわけですが笑
    来年は講習系を受講したいなと考えてます♪

  6. 素晴らしい行動力です。先日サーキットで楽しみたいとおっしゃってから僅かな時間で済ませてしまうとは。私の周りはもどかしい連中ばかりでヤキモキするのでAさんを見習ってほしいと思いました。笑 サーキットでのお写真、とても似合っていて他人目線ですが買ってよかったですね!!!と。カッコよく撮って差し上げたい!とも思ったので機会があれば是非!島先生はモテるかもしれませんが、そんなに走りたければ一人でタイムアタックでもすればよろし!と思います。FSWは同僚がスバルの車でたま~に走っているみたいです。私もこういった走行なら楽しめるかも!と興味が湧きました。

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