BLOG 隠居生活

ヘッダー画像を見て、「あれ?」と思った方、私のルーテシア を良くご存知なのですね。友達が画像上で違うホイールを履かせてくれ、車高も落としてくれた。足元が変わるだけで、ずいぶん印象が変わるもの。ホイールを変える予定は今のところないのだが、画像だけでも新鮮だ。

さて、会社で緊急案件が起こらない限りは在宅になっているので、今の私はただの通信大学生。美術館等、好きな場所はすべてクローズしているので自動的に出かけることがなくなり、その代わり余分なお金を遣うこともなく倹約生活が出来ているかと思えば、そうでもない。

Amazonで古本を買うわ、画材店のネットショップで画材を買いまくるわで意外と浪費している。物流の方々、心からありがとうございます。そして食材。私は基本的に料理しないのだが、こうも家にいる時間が長いと自分の食事は作らざるを得ない。なので毎日、ベーコンエッグトーストばかり食べている。ベーコン焼いて、上から卵を落として半熟くらいまで加熱して、クレイジーソルトをぶっかけてトーストに乗せ、上からメイプルシロップを少々。これだけ。プラス、ヨーグルトを飲む。感染より肥満のほうが現実味を帯びている。

そして、もう来月は車検に出す時期・・・・早いなあ。現在約56,000キロ走行。

とは言え、この余暇をぼやーっと過ごすには勿体なさすぎるので、学校の課題とは別に、自主研究としてやっていることがある。

それは「箔」。メタルリーフ。

まず、単純な絵を麻紙に墨で描き(今回はスピーディにシンプルな自画像)、美濃紙でマスキングする。煙草の部分は箔の上から描く実験としたいので、顔の部分だけマスキング。外から1センチくらいを目安に糊を塗ったつもりだが、水分とともに内側までヒタヒタになる。これが後の失敗に繋がった気が。

 

金箔を1枚ずつ貼っていく。あかし紙というものを使って、ふわっと箔を置くように貼る。糊は、魚膠とアルギン酸を混ぜたもの。
学校で以前、箔の授業があったが、金箔があまり好きではない私は銀箔を使用したので、金箔は今回が初めてのトライ。昔、金沢で買った金箔が手付かずで余っていたので使ってみることに。なるべく無風状態にして、息を止めて作業。しかし、金があまりにも軽すぎて思うようにいかず。貼ってるそばから破けていく!!1枚300円以上することを考えると手が震える・・・

 

2日後。糊が完全に乾いたらドーサという滲み留めを塗って乾かしを数回繰り返す。ああ、下半分は明らかに失敗。きたねぇ。緊張感が緩んだか。しかもギャーー!マスキングの糊が強すぎて本紙が剥がれてるし・・・・
箔が完全に乾かないうちに少しでも触ると穴が開く。すでに「数百年経って劣化しまくった挙句に修復の途中です」みたいな面になってしまった。やはり金箔は部分使いでいくかな・・・忘れないうちに手順や失敗をノートに記しておく。

このあと、煙草の部分を描きおこして、全体に着彩して完了になる。
俵屋宗達の風神雷神図屏風は雲以外マスキングしてから描かれているらしいが、尾形光琳の風神雷神図は本体も箔の上から描かれているらしい。滲み留めを施して絵具をのせているはずだが、どうして金属に絵具がきちんとのっているのか不思議だ。アクリルなんかなかった時代だし。膠の量を多くすれば定着はするが重さで絵具が剥離して雪崩を起こしたりしそうなのに。と疑問に思ったので、自分で試してみようという魂胆。

これは第一歩で、銀箔、銅箔、錫箔も同様に実験してみようと思っている。一番興味があるのが銅箔だ。胴粉や鉄粉なども使用してみたい。錆止めを塗るのと塗らないの比較もしたい。錆や変色が思わぬ効果をもたらすこともある。

金属の質感が好きなので、来年の卒業制作に生かすつもりだ。金属板に描くという手法もあるが、そのままでは日本画の絵具は定着しない。アクリルを下地として塗ればいけるかもしれないが、箔というのは日本古来の伝統技法でもあるので、アクリルの上から描いたらもはや日本画ではないようにも思う。学校で学んだことの集大成としては不向きだろう。

私の部屋は実験室と化した。電気コンロも鍋もポットもドライヤーも水も室内に常備してあるが(もちろん生活のためではなく画材道具として)、流しがないのが辛い。

すっかりご隠居の気分でいる。

引き続き、皆さん健やかにお過ごしくださいませ。