へんたい音楽と人間の美

今の私の姿からはとても想像出来ないと思いますが、4歳くらいから中学生までバレエをやっていました。初めて買ってもらったレコードはチャイコフスキー「白鳥の湖」です。

バレエは「細々とでも続けていれば良かった」と思う習い事のひとつ。実は数年前まで「大人のバレエレッスン」で再開していたのですが、ギックリ腰になって続けられなくなりました。だから今はせいぜいヨガですが、運動が嫌いな私が踊るのは好きなのもバレエの影響です。

そして、現在までに観たバレエ作品のうち、もうずっと私の中でマスターピースとして君臨し続けているのが、フランスの振付家モーリス・ベジャールの「ボレロ」。音楽はもちろんモーリス・ラヴェルの有名曲ですね。あの曲自体が相当に変態的だから皆さんもお好きだとは思うんですけど、作ったラヴェルも友人に「今はどんな曲を作っているんだい?」と聞かれて「狂った曲さ」と答えたというほどですから、まさに公認変態曲。生で聴くといつも緊張する曲のひとつです。そして生で聴いてもバレエが脳内再生される・・・

音楽だけでも素晴らしいのですが、バレエになるとこれがまた異様なカタルシスを感じる。赤いテーブルの上で踊る躍り手は、男でも女でもまったく同じ振り付けです。ですが、ダンサーによってまったく違った印象になるという。日本で有名なのは今は亡きジョルジュ・ドンと、数年前に最後のボレロを踊ったシルヴィ・ギエムでしょうか。前者は男性ですが、女神的美しさを持つ艶かしいボレロ、後者は女性ながら鋼鉄のような神々しさを持つボレロ・・・とまったく変わります。私は個人的にニコラ・ル・リッシュという元パリオペラ座エトワールの男性が踊る荒々しい男っぽいボレロが好きですが、誰のボレロでも観客はカタルシスを共有するという意味で、すごい作品だと思ってます。ご興味のある方はyoutubeで観ることが出来ますので是非。

現在、私が好きなバレエカンパニーはNoism(新潟)、東京バレエ団(東京)、パリ・オペラ座、ベジャールバレエ・ローザンヌの4カンパニー。昨年のベジャール没後10年ガラは観に行けなかったため、そのテレビ放送観たさにわざわざwowowと契約し、無事に視聴出来ました。

ベジャールの作品は古典と違って男女ともにゴテゴテした衣装を用いてないため、「人間とは何て美しい生き物なんだろう・・・」ということを毎回感じて感動します。私がオペラがダメでバレエが好きなのは、このあたりの感覚の差にあるのかもしれません。オペラは音源だけでじゅうぶんで、舞台を観ると幻滅することが多いんですよね。多分、美しくないからだと思います。

海外バレエ団の来日公演はチケットも馬鹿高いことが多いので中々行けないのですが、細々とバレエ趣味も続けていきたいと思います。