冬ごもり準備　音楽篇

このところずっと週末留守にしていたので、自分の部屋もまだ冬支度を済ませていない。一週間後から休みに入るがこの冬は引き籠るつもりなので、早急に準備が必要だ。快適な籠りを実現するのに最も重要なアイテムは音楽。これまではBluetooth搭載CDプレイヤーで鳴らしていた。左右に独立型のスピーカーがあるにも関わらず音量が小さいのと低音があまり聞こえないのが不満だったが、部屋で鳴らすならこんなものだろうと思っていた。

数か月前、会社のPCにBOSEがくっついた。

それまではチープなPC用スピーカーだったので、あのスカスカでチャカチャカな安っぽい音質であったのが、BOSEが来てからは音源が同じなのに感動的な音を出すようになった。特にジャズ系のベースとハイハットの音がたまらない。

（我が職場は、私のPCから流れる音楽が社内BGMとなっているのだ）

一度こんな音を聴いてしまうと、それまで聴いていた音質に我慢出来なくなる。ああ、こうやってオーディオにハマっていくんだな、と実感したが、そこまでこだわるタイプでもなく財布にも厳しいので、あまり考えないようにしている。

ある日、RADIOHEADの曲をジャズアレンジしたアルバムを発見。RADIOHEADあるいはトム・ヨークの作品は、狂ったように泣きながら聴く時期が定期的に必ずあるのだが、まさにそれが今。ルーテシア運転中も、だ。前のクルマの人がもしルームミラー越しに私を見たら危ない奴だと思ってくれるだろう。

収録されているのは私が好きな曲ばかりだったので迷わず聴いてみる・・・とにかくカッコいい！！泣ける！！演奏している一人ロバート・グラスパーは元々好きだったが、会社のBOSEで聴くともうたまらん、という感じ。すべての曲において、「全部の音が聴こえないと嫌だ！！」と痛感したアルバムと言っていい。

結果、プライベートでもこれまで以上に音楽環境を充実させたくイヤホン、Bluetoothスピーカー２台を衝動買い。残念ながらBOSEは予算オーバーだったので今回は見送ったが・・・スピーカーは部屋用とお風呂用に。イヤホンはちょうど片耳が鳴らなくなったので買い替え。今までよりちょびっと高いやつ。

これで冬は凌げるはず。

他界した父は晩年バンドマンであったし（正確には元々米軍相手のバンドマン→舞台俳優→サラリーマン→再びバンドマン→死）オーディオにはこだわる人だったので、育った家には大きなスピーカーが何台もあった。そこから大音量で流れるマイルス・デイヴィスやチャーリー・パーカーなどをやかましいと思っていた時期もあるが、今ではそのような環境で育ったことに感謝しかない。父の弾くギター、ベース、ウクレレ、スティールギター、そしてアップライトピアノと楽器に囲まれていた。祖母は三味線を弾いていたし、近所からは相当にうるさい家だと思われていたかもしれない。ま、当時のお隣のお兄さんもドラムをぶっ叩いてたしお互い様か。ちなみに父はアナログ派でCD嫌いであったが、そうも言ってられなくなると素直にCDを購入していた。

最初に買ってもらったレコードはチャイコフスキーで、A面が『白鳥の湖』B面が『眠りの森の美女』だったと記憶している。

だから私は今でも自分の時間は音楽がないと生きていけない。ただし、その時に自分が選んだ音楽だ。街の中や店舗等で強制的に聞かされる音楽はゴメンだ。特に今の時期のクリスマスソングメドレーみたいなのは即刻やめて欲しい。

音楽があれば幸せだったので音質にはあまりこだわらなかったが、今後はこだわれる範囲でこだわりたいと思う。だってキリがないから。自分が弾くピアノだって、先生宅のグランドピアノと我が家の電子ピアノじゃ涙が出るくらい違うのだ。だからと言ってグランドピアノを買って設置出来るかと言えば、まず買う以前に部屋を借りなければ不可能。トータル安く見積もってもSUVじゃないポルシェを新車で買えるくらいにはなるだろう。昔訪れたことのあるオーディオマニアの地下室を覚えているが、あんなことまで出来るわけがないし必要もない。ただ、自分がある程度満足する音であればそれでいい。

手っ取り早く、iPhoneのイコライザーで我慢しよう・・・

前回、阿部清子さんの個展へ行った話を書いたが、彼女の作品を眺めながら聴くとより深いイメージを得られる音楽が、書上奈朋子さんの音。もともとエキセントリックオペラというユニットで活動されていた方で、私もその繋がりで知った。クラシックをベースにしたエレクトロニカという、大好物なジャンルである。そして、寒い時期に聴きたくなるアーティストの一人。

肝心の椎名林檎と言えば先月ベスト盤を出したが、それよりも井上陽水のトリビュートで『ワインレッドの心』を歌っているほうが印象深い。一度聴くと、頭の中で「今以上これ以上～」と呪文のようにリピートされて毒だ。