車内で感じるカタルシス

音楽のお話。

私が一人でじっくり音楽を聴ける時間というのは車内か、移動中の電車の中など。毎日の通勤時が一番没頭出来る。自室でも常に聴いているが、何かやりながらであることが多い。

音楽は雑食なので色々聴くが(毎日椎名林檎や事変を聴いているわけではない)
最近ではジャズピアニストのBRAD MEHLDAU ブラッド・メルドー。アメリカ人。
RADIOHEADのジャズカバーがカッコ良くて聴き始めたが、このピアニストがなぜかルーテシア仲間の一人にとっても似ていて、親近感を勝手に抱いたのも大きい。バッハやブラームスなどクラシックも弾いている。先日、グラミー受賞。

とは言え、聴いていて底知れぬカタルシスを感じられるのは意外にもクラシック。

ピアノ原理主義である私にとっては、ピアノコンチェルトがその筆頭であり、中でもラフマニノフとプロコフィエフの作品、中でも両者とも2番のカタルシス度がヤバイ。クラシックというか、すでに近代なんだけども。ピアノパートはどこを切り取っても完璧で、テクニックは超絶で、オケパートも暗く重く陰鬱で最高だ。そう、ピアコンは重く陰鬱なのがいい。脳天気なのはダメ。

クラシックと一口に言っても、私が好きな作品が多いのはバロックと近代フランス、ロシアに集中している。自分が弾くのはショパンとか好きだけど、なぜか聴くのはそれほどでもない。

ラフとプロコのピアコンは、生で聴くと確実に泣ける。10代の頃に初めて出会って以来、聴くたびに泣いている。車内で聴いていても何かが溢れ出して泣けてくるのだから、生演奏だとそれがもう防御不可能なレベルになる。ピアニストを私好みか判断する時、この曲がレパートリーにあるかどうかは非常に大事なポイントだ。ちなみに次点で3番も良い。

私がいつでも好きな時に堪能出来るように、動画を置いておこう。日本人ピアニストも弾ける人は少なくないが、馴染みやすいスタンダードとして辻井くんの演奏をば。

彼は盲目でなかったとしても、ピアニストとして成功していたのではないかと思う。
個人的にはラフマニノフ作品はロシアのピアニストが好みだ。古くはリヒター、現代ではベレゾフスキーなど。

 

プロコフィエフのほうは、アジアが誇るアスリート系ピアニスト、ユジャ・ワンちゃんの演奏。難曲を検索すると彼女の演奏がいつも出てくる。生で見ると意外と可愛いらしいんだけど、この疾走感とドライな技巧は彼女独特。この作品は1楽章途中のピアノ独奏部分、もっともカタルシスを感じるパートなのだが、どうやって弾いているのか長年の謎だったのがこの動画でやっと謎が解けた。

カタルシス度はこちらのほうがラフよりも高い。何かしら得体の知れない衝動が自分の中に発生してくる。

世界的指揮者のハゲ率はなぜ高いのか。

ラフマニノフもプロコフィエフも自身が超絶技巧ピアニストだっただけに、やはりどちらも超難曲として有名なのだが、良いピアノ曲を作る人が良いピアノ協奏曲を作るかと言えばそうでもないところが面白い。例えばショパンはあれだけ素晴らしいピアノ曲を数多く残したが、若い頃に作ったピアノ協奏曲は全体的にスカスカだし、ブラームスも暗くセンチメンタルな美しいピアノ曲を多く書いたが、協奏曲はピアノ付き交響曲にしか聴こえない。彼はヴァイオリン協奏曲のほうが良い作品だと思う。

ちなみにどの曲も受け付けないのがモーツァルト。映画『アマデウス』で描かれたのが実像に近いとしたら、彼の人間性とか性格とかはとっても変人で大好きなのだけど、書いた作品には魅力を感じない。このあたりは、クラシック好きの友達と大きく意見が分かれるところ。

音楽家も絵描きもその人となりを調べてみると、圧倒的に変態が多い。だから私は変な人が好きだ。芸術って素晴らしいね。