いまさらな・・・Chords

西暦2020年。いくつかの新しい刺激を受け、私のピアノ愛が再燃している。
未だに週イチ出勤なので、ピアノに向かう時間がものすごく増えたこともある。

ピアノ歴は4歳から16歳まで個人教室で習い(練習が嫌でやめる)→そこから長すぎるブランク→再び8年前から別の先生とリスタート、ってな感じだ。他に楽器と言うと吹奏楽部(私の時代はブラバンと言った)にてパーカッションを担当していたので、太鼓系、ビブラフォンなどの鍵盤系、マラカス、タンバリンなどの小さいノリのいい楽器などはイケる。ちなみにドラムも8ビートくらいならまだ叩けるだろう。まあ、ピアノも打楽器と言えば打楽器だ。弦楽器、管楽器は弾けない。

亡き父はギター(スティール含む)、ウクレレ、ちょこっとだけベースも弾いていた。家に楽器があるのは当たり前で、常に音楽があった。しかし当時の私は音楽は大好きだけど勉強するのは嫌だったし、将来音楽の道に進みたいとは微塵も思わず、自分の好きな作品が弾ければいいな、くらいに思っていた。

ピアノは今も昔もクラシックを弾いている。好きな作品はたくさんあるし、好きな音楽家はほぼピアニストだ。だが、父の影響でジャズもたまらなく好きだ。ピアノがカッコいい曲って大抵ジャズだし。ムーディなのより、ドライなのが好み。

最近、ピアノ系YouTuberの動画をかなり見るようになって、林檎の『丸の内サディスティック』のカバーがかなり上がっていることに気づいた。確かにあれは名曲ですよ。私の中でも常に林檎ベスト3に確実に入ってくるし、本家でも色々なver.がある。

そこで、ふと思った。
「もしかしたら、私にも弾けるんじゃね?」
しかし、クラシックピアノ一辺倒だった私は楽譜がないと弾けない。つまり、「コード」がわからないのだ。ギターなど弦楽器の皆さんは当たり前のように修得しているコード・・・今まで見て見ぬフリをしていたコード・・・

まったくわからないわけではなく、ピアノのおかげでメジャーマイナーは頭に入っている。長調短調として。しかし、7thとかsus4とか一体なんですか???という状態。
父が生きているうちに教わっておけばよかった(父のバンドの名前はC7だったし)と思っても時すでに遅し。自分で勉強するしかない。コード理論の本はたくさん出ているが、実際に鍵盤を鳴らして音と一緒に覚えるしかないと思っている。

でも、これが意外と楽しい。音の響きを楽しめるから。
「亀田音楽専門学校」という、東京事変メンバーでもあるベーシストの亀田師匠が出演されていた番組でコードの特集を見て、今まで食わず嫌いだったコードをまじめに取り組んでみようと思った。

我が家のボロピアノ

 

試しにバッハのインベンションに伴奏をつけてみると(バッハの曲は左手が伴奏、右手がメロディと言う概念で作られていない)、「おお、ここでCからGになるのか!」とか、今まで気にもしていなかったことがわかるようになった(遅い)。

正直、自分でも「今更感」が強いのだが(コード知らなくてもクラシックは弾けるし)、もっと自分で音楽を楽しみたい、近づきたい!と思いを新たにしている。

「ヒゲダンのPretenderって歌、知ってる?めっちゃいい歌だよね〜、泣くわ」
と娘に言ったら「は??今更?おそっ!」と思いっきりバカにされた。しょうがない、母は林檎と事変しかほぼJ-POP聴かないのだよ・・・

でも、コードがわかればコード進行もなんとなくわかるようになって、その曲の構造を考えながら聴けるだろうから、また聴き方の楽しみが増える。そして、好きじゃない曲を聞かされる状態でも、そういったことを考えて聴けば無駄にはならない。というわけで、とりあえず丸サ弾けるように勉強(コード勉強するとか言いつつも、やはり楽譜を買ってしまった)。

ちなみに、絵を制作する時もずっと音楽を流している。その絵の世界観や自分が想起したイメージに合うプレイリストを作成し、それをリピートしながら描いている。

幼少から当たり前のようにあった音楽も、見るのは好きだが描けないというコンプレックスを抱えたまま年を取ってしまった美術も、廻り廻ってやはり私の情熱の大部分を成す要素なのだと今更わかった。すっごい遠回りだったけど、死ぬ前にわかって良かったとも言える。コロナ期間で唯一良かったことがそれだ、好きなことに向き合う時間が出来て、そこからまた新しい世界が開けた。

「今更」ばっかりだけど、皆さんももし挑戦したい好きなことがあったら、今更なんて思わずに急かしてよ〜じゃなくて、今更なんて思わずに挑戦してください。新しいことに挑戦する大人には、私自身も勇気づけられます。