スタジオで遊ぶ

前を行くクルマのモニター型バックミラーに、赤いものが映っているのを見るのが好きです。特に信号待ちの時、画面中央に赤く美しい何かが大きく映っているのを見るのがとても好きです。

課題の〆切に追われている。
またかよ?と思われるかもしれないが、正直言って常に追われているのだ。
現在、悪戦苦闘しているのは東洋美術史。入門的なものは過年度にすでに単位を取得しているが、今回はもっと踏み込んだもので、代表的な作例を12枚スケッチというか模写した上でレポートまで執筆しなければならないという大変厄介な、いや、ためになる科目なのである。さらに、ここが山だ。この科目に無事合格すれば、もはやレポートや論文の類は忘れ、絵だけに専念出来る状態になれる。

図書館から1冊2キロ以上はある美術全集をひいひい言いながら借りてくる

とは言えアジアは広い。中国とインドだけで息切れがする。しかしそこは手加減してくれたのか、中国は秦から南宋までで良いそうだ。短くて助かった、と思いきや1000年以上もあるじゃん。それと特にインドなどは地名が難しい。王朝名がややこしい。サータヴァーハナ朝。ヴァーカータカ朝。大陸ゆえに色々なカルチャーが混じり合っており、例えば一口に宗教美術と言っても多種多様すぎる・・・その上、どれも美術品として素晴らし過ぎて、美術全集をめくっていると見入ってしまって、あっという間に時間が過ぎる。

ようやくスケッチが終わり、現在レポート執筆中。しかし一応草稿らしきものは出来たので、こうして息抜きに書いている。

息抜きと言えば、週末はふと思い立って生ピアノを弾きにスタジオへ入った。

音楽スタジオなんて高校生以来だ

たまには生ピアノを思う存分弾きたい!という願いは達成され、1時間があっという間だった。やっぱり生で音を全身で浴びるのは快感だ。何を弾いていたかと言えばひたすらバッハなので相当地味ではあるのだが。バッハは変な感情が入らずにわりと無心になれるので好きなのだ。
普段電子ピアノで慣れているし、先生のお宅でグランドピアノに触れるのは2週間に一度。こうして改めて生ピアノを弾いてみると、音楽的表現の欠如に自分でも唖然とする。電子ピアノと生のピアノは別の楽器として考える必要がある。鎌倉の私が育った家にはドイツ製のアップライトピアノがあった。実家とともに壊されてしまったが、悔やんでも仕方ない。

このスタジオにはグランドピアノもあるのだが、グランドピアノのお部屋は30畳もあるそうで、とても1人で入る気分にはならない。この3畳のピアノ部屋でじゅうぶんでございます。完全に外界と遮断され、私の前にあるのはピアノのみ。鍵盤すら輝いて見える。何も気にすることなく自分の世界に没頭!

これからは月に1回2回くらいはスタジオで弾く時間を作ろう。

気持ち良くスタジオを出て、その足でヤマハ音楽教室の無料体験レッスンへ向かう。トライしたのは

チェロ。初めての弦楽器!

父親は死ぬまでギター弾いていたし、私の周りはプロからアマまでギタリストが多い。なのに弦楽器に縁がなかった。あ、三味線なら少し習っていたことがあった。とにかくだ、弦楽器の中で昔からの憧れはチェロ。

幼い頃、父親がよく鑑賞していた『真夏の夜のジャズ』という映画で、チェリストがバッハの無伴奏ソナタを弾いている姿を見て「なんてカッコいい楽器なんだろう!」と好きになった。これです。

https://youtu.be/AlGFwbzGeWo

今見てもめちゃくちゃカッコいい・・・私もくわえ煙草で演奏してみたいぞ!

今すぐ始めたいという気持ちはなかったが、お試しで「実際どんな楽器なんだろう、どんな音が鳴るのだろう」という好奇心で体験してきた。King Gnu常田大希の影響があることも潔く認めよう。

先生が親切に楽器の説明と、ポジションなどを説明してくれる。「へぇー!」と思うことが多くてこれだけでも来た甲斐があった。いざチェロを構えると感動する。軽い。床、膝、胸の3点で支えるんだそうだ。想像していたのより重い弓を持ち、開放弦を恐る恐る撫でると低音が体に響いた。直接体に触れて演奏する楽器っていいっすなー!!

しかし、左手の指で弦を押さえる段階になると、どこがファーストポジションなのかよくわからない上に力不足を痛感。バシっと押さえられないので音が気持ち悪い。ドー、レー、と来て、次はミなのだが、明らかにミでもミ♭でもない妙な音になる。ま、初めて触るんだから当然なのだけど、ピアノで音程が頭に入っているので、ちゃんとした音を出せない自分が許せない、みたいな気持ちになってくる。多分、習うとなったら毎日練習しないと気が済まなくなるだろう。とにかく難しい。ギターやベースも含め、弦楽器を弾く皆さんを心から尊敬します。

ちなみにチェロを買うとしたら最低でも初心者は30万クラスのものをお勧めします、と先生。それか、サイレントチェロでもいいでしょう、とのこと。サイレントチェロはヘッドフォンをして練習出来るので、確かに住宅事情を考えれば便利かもしれない。でもチェロをやるなら、木製のチェロがいいじゃないですか。Amazonで売ってる4万くらいのじゃやっぱダメだそうで。

先生を質問攻めにして体験レッスンは終了した。

新しい楽器を始めるのって、新しいクルマに乗るのと感覚が同じかもしれない。あの高揚感。しかし、今の時点で新しいことを始めたら金銭的にも時間的にも破綻する。大学を卒業してからもう一度考えよう、という結論になった。

とにかく今、目の前にある課題を片付け、4月からの卒業制作のための試作のプランに1日でも早く入りたい。3月に予定されているモザイク制作の講座を受けたら、譲って頂いたステンドグラスの材料を使って作品制作もしたい。ピアノは継続してるので練習時間も必要だ。仕事は平常通りだし、洗車する時間だって確保したい。

そこでふと気づく。
仕事以外は自分のペースで誰にも邪魔されずに好きなことばかりやっているんだから、私は幸せだ。しかも、どれも1人で完結出来る(←これが非常に重要な時代になってきたし)。

さて、眠いけどまたレポートの続きをやるとするか・・・やれ!!