クルマで巡らない「(生)林檎博’18 -不惑の余裕-」

この20年、椎名林檎の作品とともに生きて参りました。
人の20年・・・新生児が成人する期間でもあります。長い。そして、色々な事が当然起こる。私の20年もまったくもって平穏ではありませんでしたが、今まだここに命あることを感謝します。

「新宿系自作自演屋」も40歳になり・・・
今年頂戴した年賀状には「芸歴20 平成30 生誕40」と書かれてました。

椎名林檎20周年アリーナツアー「不惑の余裕」、彼女の誕生日当日、11月25日公演を鑑賞しに行って参りました。

我々「不惑世代」からすれば、確かに「余裕」は欲しい、だがしかし、やっぱり毎日未だにあくせくしている・・・そんなことを考えさせられたツアータイトルです。

場所は10年前のデビュー10周年林檎博’08と同じく、さいたまスーパーアリーナ。ってもうあれから10年もたったのか・・・
前回はスタンド席でしたが、今回はファンクラブ経由で先行購入(それでも抽選)、さいたま最終日のアリーナ席を頂けました。

今年は春に「真空地帯」もあり、2度も林檎のライブに行けてラッキーだったな。

開演は16時半からですが、グッズ購入のため11時半には現地入り。
地元から乗り換え無しでさいたま新都心まで行けるのは楽ちんです。大宮の先だと思っていましたが、手前でした。

グッズ売り場はすでに長蛇の列。90分コースを覚悟。しかし天気も良かったのでどうにか耐えて無事に希望のものはゲット。並ぶことが大嫌いな私ですが、林檎のライブだけは黙ってお行儀良く並びます笑。林檎と言えば手旗ですが、今回は早々に売り切れるので過去の手旗を持参したほうがいいという情報が流れてきたので、前回の「真空地帯」の手旗を持参。やはり並んでいる間に完売になってました。

Tシャツ、タオルケット、ステッカー、ビニール傘(本当は特注の番傘が欲しかったが、さすがに5万は出せない・・・うぅ)、赤いアクリルタグNIPPON。
ここ最近、仏教系ビジュアルが多いです。

グッズ入手に安堵して、近くのプロントでやっとランチを。急遽チケットを手に入れたお友達と待ち合わせまで、読書したりして過ごします。このビルのトイレもすごいことになっており、警備員までいる始末。やはりこんな日は早め早めの行動でしのぐしかありません。

 

会場に入ると、やっぱりスーパーアリーナはデカい!
場内にはプロコフィエフ「ピーターと狼」が流れており(ナレーションはデヴィッド・ボウイの録音版という説も)、ミュージカル公演もしくはディズニーのアトラクションにいるような雰囲気。私も幼少の頃、良くレコードで聴いていました。

私の席は一番前のブロック且つ、上手の端っこ。前から9列目。残念ながら位置的にオケピの中はまったく見えませんでしたが、ステージに立つ林檎は肉眼でじゅうぶん見える位置!
同行したお友達は5階に。見上げるとものすごい高さです。

ドラムは上手、ピアノは下手だったので、私の席からはドラムのみどりんの後ろ姿がやたら良く見えました。ピアノのヒイズミマサユ機氏のプレイをじっくり拝みたかったのですが、それは望み過ぎというものでしょう。WOWOWのカメラが入っていたので映像に期待します。

まだ福岡が残っているのでセトリは細かく書きませんが、20周年の集大成というよりは、彼女の現在、といった曲目が並んでいました。以前のような荒々しさはなく、母性や女性性をふんだんに表現した世界だったと思います。自作自演ミュージシャンからモノホンのアーティストになったのだなあ、としみじみと。

冒頭は、ガラスを割るあの曲!!
林檎より先にMummy-D(ライムマスター)が登場、トリビュートアルバムに収録されているラップヴァージョンでのお披露目。
「ガラスを割るナース」というのは、強烈なアイコンとなって今でも私の中に生き続けています。今回もナースコスプレの方をお見掛けしました。

10年前のラストはデビュー曲「幸福論」を拡声器で歌っていましたが、今回はすやすや眠る長男を傍らに2001年の米国同時多発テロをニュースで見て作ったあの歌。

今回ものすごく盛り上がった一因として、ゲストの登場が大きかったと思います。
冒頭いきなりのMummy-Dに始まり、浮雲、トータス松本(この日は映像のみ)、レキシ、そしてエレファントカシマシの宮本浩次。浮雲はあの飄々とした感じで「トーキョーは夜の7時」を軽薄に歌ってました笑。彼、フランス車好きなんですってね。

しかし特筆すべきは宮本浩次。
エレカシは高校の頃から知っていましたが、生で聴くのはもちろん初めて。「獣ゆく細道」のMV、先日のミュージックステーションでのパフォーマンスがすでに圧巻でしたが、生はそれ以上の熱量。
まず、あの色気は何だ。泥臭い昔ながらの不潔感がとんでもない色気に昇華されている非常に稀有なケース。普通の人にはまず不可能。昔からこんな色っぽい人だったっけ?いや、恐らく50代だからこそ出せる色気も入ってるはず。
そして、声。歌の出だし「この世は無常」は観客の雄叫びがすごかったにも関わらず、ストレートに脳に刺さった。
彼を生で観て聴いてわかったこと。この人は天才肌なのだ。

そしてなにげにこの作品はマスターピースです。
不惑の世代に突き刺さるこの歌詞の破壊力よ。

 

 

熱傷もとい熱唱の後は林檎の誕生日ということで、ギターを持って「悲しみの果て」を自らプレゼント。林檎がこの歌を大好きなんだそう。林檎とエレカシ両者のファンも結構な数いらっしゃると思うのですが、そういった方々には一生モノの記憶になったのでは。

林檎は昔から「ひとつのことにずば抜けて秀でた才能を持つ男」が好きだよね。

そして、私が個人的に嬉しかったことがもうひとつ。
林檎のバックダンサーはイレブンプレイというグループですが、その中のSAYAさん、林檎のMVの中でも特に好きな「長く短い祭」に出演しているあの彼女なんです。そう、好きな男を風呂場で撲殺するヒロイン。実物の彼女もショートカットの似合う素敵な美人さんで、見惚れていました。

エンディング映像まで凝っていて、クローズ後の会場内BGMはピアソラ。どこまでも趣味がいい。

この日はいつものぼっち参戦と違ってお友達がいたので、終演後の感動をシェアすることが出来てよかった!

次は25周年を期待したいところですが、まずは今回のライブが映像作品として出版されることを切に願います。その前にWOWOWで放送されるとは思いますが(そのために私はWOWOWに加入していると言っても過言ではない)号泣しながら楽しみたいです。

ライブ後はいつも自分の中の林檎作品ベスト5とか考えるんですけど・・・20年もやってれば駄作だってあるし、すべてが完璧ではないんですが、考えるたびに毎回違う答えになってしまう。

私が椎名林檎のファンであり続ける理由は、好きな物と林檎が繋がっていることが多いこともあります。例えば

・大好きな東京バレエ団&ベジャール作品で活躍したバレエダンサー首藤康之のドキュメンタリー映画「Between Today and Tomorrow」の音楽を林檎が担当。ピアノ五重奏曲で、林檎はピアノを実演。
・愛読書の漫画「さくらん」の実写映画の音楽も林檎が担当
・ライブ「雙六エクスタシー」発行のお土産雙六が、大好きな画家である木村了子さんの作品(これ最近知って、めっちゃ鳥肌たった。やっぱり私の好きなもんと林檎は繋がるんだ、と確信した事件)

他にも、
・文楽好きにはたまらない文楽人形を使ったジャケ写やプロモーション
・吉原好きにはたまらないビジュアルイメージやおいらん言葉
・母が大ファンであった故中村勘三郎作の歌舞伎音楽も林檎が担当(勘三郎の最後の愛人と週刊誌に書かれていたが妙に納得)
・大好きなホテル、コンラッド東京などなど

これからもきっと私の好きと林檎は繋がるはず。

スペシャルなライブを鑑賞後の感想は、純粋に「ああ、音楽ってやっぱりいいなぁ、音楽って素晴らしいなぁ」でした。究極にシンプルに。

「クルマで巡らない「(生)林檎博’18 -不惑の余裕-」」に2件のコメントがあります
  1. 大好きな林檎さんの世界をどっぷりと楽しんでいらっしゃったのですね。私は大森靖子のカウントダウンライブに参加しようか悩んでいるところです。

    夏にあったフェスでエレカシを楽しみました。早朝から参加して夕方のCAPSULEでバチボコに盛り上がり汗と砂埃まみれでヘトヘトな状態でのエレカシでしたが大声を出して個人的にも大盛り上がりできました。スクリーンに映る宮本氏はとてもとても魅力的でした。とっても小汚いんですけどねぇ。不思議です。やはり天才なんでしょうか

    1. ライブはその名の通り「生き物、生もの」だと思うので、迷ったら行くべきです!!

      今思い返してみると、確かに林檎の記念碑的なライブではあったのですが、最後に宮本氏がすべて持ってった感があります。Mステの時に林檎が「日本が誇る名器」と彼のことを言ってましたが、生でその声を聴いてそれが理解出来ました。

      そう、小汚いのに何であんなカッコいいんでしょうね。会場でも林檎と干支が同じ=一回り違う=52歳、というくだりで観客から驚愕の歓声が上がってました笑。

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