クルマで巡らないR.O.O.M/鏡の中の鏡

吉祥寺。名前だけは知っていても行ったことのない街。そもそも何市になるのかも知らない。よくやってる「住みたい町ランキング」でいつも上位にいる街・・・

そんな吉祥寺という街で、大好きなバレエカンパニーNoismの公演があると聞き、親友と行ってきた。

吉祥寺は都会だ。人もなんだかすごく多いし活気がある。アーケード商店街の中にある「くぐつ草」で待ち合わせ。ここは地下の隠れ家的な造りで、喫茶店ながら夜遅くまでやっているようだし、カレーも美味しいらしい。何よりくぐつ=傀儡という名前がいいではないか。

お酒を飲まない者にとって、夜まで珈琲が飲める店は切実に必要なのだ

 

無事親友と落ち合い、カレーを食しながら近況報告や積り積もった話をし、いよいよ公演へ。
吉祥寺シアターは「えっ?」と思うような場所に佇んでいた。中はシンプルな造りの、とてもいい感じのホール。舞台からも近く、ちょうどいい距離間だ。

Noismは新潟市の「りゅーとぴあ」という芸術劇場専属のカンパニー。日本初のハコ付カンパニーとしても有名。例えばJleagueのチームであればホームスタジアムがある。しかしバレエ団にはまだまだ少ない。欧州ではパリ・オペラ座バレエはガルニエ宮がホームであるし、ボリショイバレエはボリショイ劇場がホームであるように当たり前なのだが、日本では劇場とカンパニーは独立しているのがほとんどだ。

そんな中、新潟市はすごい。しかもNoismはもはや国宝級のカンパニーだと思う。国からの援助もすべき。

芸術監督の金森穣、彼のパートナーで副芸術監督の井関佐和子。ともに40代。佐和子さんは日本で一番、金髪のショートヘアが似合う女性だと思っている。そして、動いている彼女は目をじっと凝らしてみても「本当はそこに存在していないんじゃないか」と感じる突き抜けた透明感があって。とにかく素敵な人なのだ。

カテゴリ的にはコンテンポラリーバレエになるのだが、彼らは自分たちのことを「舞踊家」と呼んでいる。少数精鋭で鍛え抜かれた身体、表現はもちろん、Noismを見てしまうと古典作品が学芸会に思えて来てしまうのだ。もちろん古典は古典で好きなのだけど・・・

目下の問題は、この日私がステージで目撃した内容を、言葉にうまく表現出来ないことだ。こういうステージでこういう踊りでこういう音楽でこうなって、という状況説明ではとても足りない。というか、そういう要素を遥か超えたところにあるのがNoismの作品だから。すみません力量不足で。やはり映像が必要。練習風景をご覧ください。

一緒に鑑賞した親友は、金森穣がどストライクでタイプらしい・・・私はそうでもないのだが、後半の「鏡の中の鏡」で踊る穣さんは確かに素敵であった。
今回の作品は最初女性陣がポワント(トゥシューズとも言う)を履いていたのでとても驚いた。音楽はメロディの無い無機質な電子音が続く。銀箔で覆われた箱の中で何が起きてゆくのか、開始早々からワクワクが止まらかった。と同時に、彼らの舞台を鑑賞する時は圧倒的にこちらも緊張する。能を観ているかのごとく、息をひそめてしまうのだ。

 

私たちがNoismにはまったキッカケとなった作品、solo for 2。もう衣装なんか要らないよ。

 

号泣したLiebestod。今見ても泣ける・・・
東京事変の曲「化粧直し」を具現化するとまさにこうなるのだ、とも思えた作品。

時に難解なコンテンポラリーでありながらも、ちゃんとバレエなところが素晴らしいし、それはベジャールにも通ずるところがある。トップの2人はベジャールのバレエ学校で学んでいるのでそれも納得なのだけど、やはり日本人にしか出来ないクリエイションだな、というのを毎回感じる。決して欧州的でもなければ、変に和風に偏ってもいない。いいところでニュートラルを保っているように見える。唯一なのだ。

新潟の宝、そして日本の宝。
彼らは新潟市内の学校での指導、若い人たち向けのワークショップなども開催している。新潟の方が羨ましい。

バレエを見慣れていない人、ちょっと難しそうと敬遠している人にも是非一度観て欲しい。スポーツとはまた違う、人間の身体の表現の素晴らしさにため息しか出ないから。

 

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