クルマで巡らない美人画づくし展-令和-

ギャラリー。

まず浮かぶのは、「入りにくい」という問題。
私でも銀座の老舗ギャラリーとかめっちゃくちゃ入りづらい。入ったことないけど。
ギャラリーは絵を買うところでもある。それがものすごいプレッシャーになるのだ。

でも、デパートの7階とか8階とかにある画廊は、わりと入りやすい。見たい絵があれば、気楽に行けるし無料なのも魅力である。私も学校の先生などが出品するとふらっと観に行ったりする。

今回は横浜タカシマヤの美術画廊にて『美人画づくし展-令和-』を鑑賞してきた。


目的は、阿部清子さんが1枚出品しているので、それがメイン。他に、SNSなどでフォローしている作家さんが何人か出品している。

入り口で個人情報を記述する。
墨と筆があると、上手に書けもしないのにペンじゃなく筆で書いてしまう。
我ながら見栄っ張りだ。

「美人画」がズラリと並んでいる。美人画と言っても可愛らしい少女や艶やかな着物のお姉さんが多く目につく。そんな中で、やっぱり阿部清子さんの作品は異彩を放っていた。作品の前に来たらもう、目を逸らせない。いや、逸らすことを許されない引力と強さ。これがたまらない。

色彩豊かな作品群の中で、墨と岩絵具だけのシンプルな、でも強烈な視線を投げかけてくる美しい絵は、阿部さん独自の世界。本当に好きだ。愛している!
赤いシールが貼られていたので、売約済み。うーん私もいつか欲しい。

それから、以前から好きだった池永 康晟さんの作品を初めて生で観た。
案内葉書のカヴァーにもなっている。
麻布に描いていると聞いていたが、実際に生で観るとセピア調に近い色彩が思った以上に深く表現されていて、いちファンとして素直に素敵だなー、と思った。画像で見るよりずっと深度がある。正統派の美人画を現代に描くとまさにこうなる!と思える。
彼の作品は少女アイドルファンならどこかで目にしたことがあるのではないか。
お値段は一桁違うよね・・・こんな画風です。

「睨める・穂波」

男性も女性も美しい女性を描く。いつの世も、古今東西、美しい女性とはそういうものなのだ。

一方で、日本画分野のイケメン画は数少ない。大好きな作家さんの一人である木村了子さんが表立ってイケメン画を描いていらっしゃるが、イケオジ画はもっと少ない。私は男性の顔の造作がけっこう好きなので、人物画を描くとしたら男性しか考えられないのだけど、なかなか参考になる作品がない。西洋画のほうが絶対的に男性画は多い。日本だと昨年観た岸田劉生がかろうじて入るか。

 

そんな中、今回は美人画というテーマで集められた作品群ではあったが、阿部清子さんが「美しい人間を描きたい」と仰っていたのが印象的だった。美しいとは表の容れ物だけが美しいのではなく、内側の強さ・・・まったくもって同感だ。そして、それを彼女の作品からは感じられる。

お隣の岡本神草とともに、毎日拝んでいる

 

他に感じたことは、やはり絹本(絹に描いた作品)は色の出方がハンパなく美しくて、思わず近寄ってしまう。日本画を学ぶ者にとっては憧れの絹本だ。

大きな満足感を得てギャラリーを後にし、1階化粧品売り場でNARSの新色を確認したり、シュウウエムラでリップをまたも衝動買いしてみたり。
その後、友達と待ち合わせて入った掃き溜めのような店がここ数年でも「マジ最低最悪!!二度と来るか」だったことを除けば、良い金曜の夜であった。

近いけれど、やっぱり横浜駅周辺は好きじゃないな。ただでさえ迷宮化しているし、かと言ってみなとみらいも観覧車のイルミネーションがダサくて嫌いだし、案外横浜で好きなところはあまりない・・・誰か教えて