この年齢になっても、当然だが経験済のことより未経験のことのほうがずっと多い。この秋から、私はまたひとつ新たな挑戦を始めた。それは

水泳と言いたいところだが、まずは水中ウォーキングだ。

私は水恐怖症である。温泉ですら怖い。海はもちろん(海のそばで育ったというのに)、池、湖、田んぼ、とにかく怖い。唯一の例外は川で、流れているものは平気のようだ。

私は鎌倉の、海から徒歩3分の土地で育った。幼少の私はアトピー性皮膚炎がひどかったが、母親は「海の水に入れば治る」という、今ならトンデモ療法を私に強要し、無理やり海水浴に行かされた。当然、掻いて傷になったところに海水は容赦なくしみる。その頃から私は海で泳ぐことが嫌いになった。砂浜を歩いて、足の裏にとげが刺さることもたまならくいやだった。これについては、未だに母を恨んでいる。それから小学校の時の水泳の授業で、足を滑らせてプールに落下した経験がある。このことからプールが嫌いになった。海も嫌い、プールも嫌い、動かない水に恐怖を感じるので池や湖も恐ろしい。そんな私だから、数十年プールとは縁がなかったのだ。亡き父親は学生時代は水泳部で、平泳ぎの県代表だったらしい。毎日逗子から江ノ島の往復を泳いでいたらしいのですごいと思うが、父親から手ほどきを受けた記憶はない。

今年の春、私はそれまで通っていたジムを退会した。股関節周りの痛みが悪化して、地上のトレーニングが出来なくなってしまったのだった。もともと変形性股関節症の診断を数年前に受けているが、その時はトレーニングすることでかなり軽減された。今回は昨年の治療からくる運動不足と体重増加によって、いっきに悪化したようだ。この症状に水中ウォーキングはいいと知ってはいたが、前述の通りプールは怖いので敬遠していた。しかし、ついに覚悟を決めたのだった。(余談だがZのシートポジションは本当に楽ちん。おかげで運転中はまったく痛みを感じない)

地元の市民プールが比較的空いており、ゆったり歩けるので週2、3回、通うことにした。初回、水に入る時はめっちゃ怖かったが、「何かあったら監視員さんが助けてくれるだろう」と無理やり自分を安心させ、恐る恐る入水。入ってみると意外にも気持ちが良く、最終的には「泳いでみたい」と思えるようにまでなった。すごい進歩だ。が、まだ顔を水につけるのは怖い。子供か!いや、子供のほうが水と馴染んでいそうだ。

頭を空っぽにする時間が私には必要で、それには運動が一番効果的なことはわかっていた。制作に関するアイデアも、頭が空っぽの時に突然降ってきたりする。だが足の痛みでそれが思うように出来ないストレスに打ち負かされるより、今自分に出来ることをやってみようと考えた。

ふと周囲を見てみれば、リハビリの人やダイエットと思われる人ばかりなので気楽だ。会社の帰りに寄れて、駐車場も2時間無料で、ジャグジー、小さなジムまである。バカ高い会費を払って民営ジムに通っていたが、今の私には市営でじゅうぶん。

最低でも3ヶ月はまず頑張ってみようと思う。

「BLOG 恐怖を克服する」に2件のコメントがあります
  1. 新しいチャレンジ、なんと水泳だったんですね!恐怖を乗り越えてチャレンジ、凄いと思います。私の場合必死で泳いでいるので何往復したか数えていられないくらい頭の中が空っぽになります。泳ぐことは辛うじてできますが泳ぎながら「何かミスったら死ぬかもしれない」と思っています。僅かな恐怖で体が強張り動きが小さくなったり息苦しくなったり、メンタルが体に与える影響の大きさも感じているところです。私と同じくステップアップコースに申し込んだ人たちの9割以上は私の親世代くらいです。その年齢で新しいことにチャレンジ、凄いなと。そして親と一緒に遊びに来ている幼児が帰るのを嫌がったりする様子を見ても、あのようにプール大好きになりたいものだと思ったり。個人で水泳をやっていても周りに感化されてる気がします。

    1. ひろさん
      ひろさんも水泳を始められたんでしたね。自転車、水泳と来たら次はランで最終的にトライアスロン!?
      耐久系のスポーツがご自身にフィットしていらっしゃるんでしょうか。
      地上のウォーキングだと目に入る様々なものをぼんやり見ながら散歩するわけですけど、水中だとそうもいかず、
      ある種の瞑想状態になりえますよね。本当は音楽を聴きながら歩きたいのですが、持ち込み禁止ですし。。。
      私もそのうち泳ぐほうにスイッチ出来たら、と思ってます。平泳ぎでしか泳げないのですが、最初はビート板で
      バタ足だけでも楽しいかなあと想像しています。

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