あの物語が映画に。

今日は、本のお話をいくつか。

ずいぶん前に記事にした水墨画の物語『線は、僕を描く』がいつの間にか実写映画になったようだ。

左にあるのは、先日古本で買った山田詠美作品。中学の時の愛読書だった。山田詠美とサガンが私の中学時代のセンセイだったのだ。まあそれはいったん横に置いておいて、、、、

『線は、僕を描く』の映画版、うちの学校とコラボ企画をやるらしい。

[blogcard url=”【書画コース】10/16(日)映画『線は、僕を描く』公開記念 オンライントークイベント開催! | 通信教育課程 入学課 | 通信教育課程 (kyoto-art.ac.jp)“]

何年か前に公開講座で水墨画の授業を2回ほど受講し、「私に水墨画は無理」と諦めたのだが、今年度から「書画コース」が開設された。

そう言えば8月に「無言館」のドラマも放映されていたっけ。大嫌いな「24時間テレビ」という枠の中ではあったし、ドラマ自体は名作でもなかったのだけれど、広く世間にあのような美術館がある、ということを知らしめてくれたのは良かったと思う。そういう意味で、今回の映画も私個人はあまり見たいとは思わないのだが(やはり、原作の本が一番いいと思うし、なんか青春映画みたいな雰囲気だし)、「水墨画とはどんなものか」というのを幅広い世代に広めてくれたらいいなとは思う。

ちなみにこれまで見たアート系の映画で一番印象深いのは、何と言っても『序の舞』。アート系、というと語弊があるが、宮尾登美子原作、名取裕子主演で、上村松園の生涯を描いた作品。女であること自体がすでにハンデだった時代、画業もまた男だらけの世界であり、それだけでもキツイのに師匠に関係を迫られ、妊娠し未婚の母になり、、、、という波乱万丈な人生を知った上で松園の作品を見ると、あのたおやかな上品さ、正しい美しさみたいなものが空恐ろしく思えてくる。女性としての彼女のことはとても好きで尊敬するが、作品はどうも好きになれないのはそのせいかもしれない。私にとって「気楽な気持ちで眺められない」類の絵画作品ナンバーワンなのだ、松園の絵は。緊張を強いられる気がして。

そして、私が最近眠りに入る前に必ず開く本がある。

今年、鎌倉の県立近代美術館別館で個展を見た堀江栞さんの画集だ。

いつか買おう買おうと思っていたのだが、先日ふらっと寄った地元の書店で偶然発見し、「これは今、私に必要な本だという天からのメッセージだな」という気がして、ついに購入。彼女の作品は生でじっくり鑑賞したにも関わらず、ページを捲るたびになぜこんなにも寂しく、泣きたい気持ちにさせられるのだろう。それでも必ず毎晩、この画集を開けてしまう。

岩絵具を用いた肌の表現に関して、すごく影響を受けた。色を重ねていくことへの戸惑いが消えるきっかけにもなった。とにかく、彼女の描く人物がとても好き。

写真に写っているお線香みたいなのは、金木犀の香りのお香。毎晩焚いている。金木犀の香りかと言えばそうでもないのだが、落ち着いた香りで心地いいので使っている。お香は手軽だし、気分を変えたり落ち着かせたりするのにオススメ。