実録 ルーテシアはデート車なのか

愛車ルーテシアは私の宝物、私のお城、私の空間。
よって乗せる人は自分の部屋に入れても構わない人に限られる。つまり、ごく親しい信頼した人でなければ。基本的に家族、男女問わず仲の良い友人、普段からお付き合いのあるクルマ仲間などがそれに当たる。

そんな私なので、これまでデートにルーテシアを使うことは無かった。ルーテシアに乗って待ち合わせ場所へ行くことはあっても、同乗してどこかへ出かけるといったことは極力避けてきた。

つい先日、昔よく通った秋谷(横須賀市の葉山寄りの地域)のレストランへ久々に行きたくなった。というのもそのレストランは海に面しており、けっこう気持ちがいい。駐車場が県営駐車場で、9月からは24時間無料になる。まぐろのカナッペがとても美味しい。鎌倉を抜けて逗子、葉山とドライブコースにもちょうどいい。平日だからそれほど混雑していないだろう、よし行こう!と決めた。

そこで私は思い出した。かねてから私のルーテシアに同乗したいと言ってくれている方がいたことを。仮にその方をKさんと呼ぶ。年上の建築家で、今でも時々サーフィンするような根っからの湘南人だ。
ルーテシアのデート車としての実力を試すチャンス来たり!と、今回Kさんをお誘いしてみた。

誤解のないように先にお伝えしておくと、彼と私はたまに会って楽しくお食事するような「仲良し」であって、決してカップルではない。つまり、今のところ男女の関係ではない。かと言って友達でもない不思議な関係。

Kさんの事務所の近くまでルーテシアでお迎えに行く。Kさんが現れたのですかさず助手席のドアを開けて乗っていただく。
前もって私のクルマ自慢はさりげなく、ごく少量してあるので、基本的な情報を彼は知っているが、実際のルーテシアを見るのは初めてだ。
「うわ、ありがとう。かっこいいクルマだね!」掴みはよし。
ルーテシアが進み始めると、「これ排気量どれくらいなの?」「MTなつかしいなあ」「ガソリンはハイオクなの?」「燃費はどれくらい?」などなど、わりと普通の質問の嵐。私も普通に答える。ここでどれだけ私がこのクルマを愛しているかを熱く語っても、多分意味がない。そもそも、それほどクルマに興味があるわけではなさそうな人だからだ。

彼は背の高い人なのだが、意外なことに圧迫感はまったくない。ただ、女友達を乗せるのと違って、微妙な緊張がある。助手席との距離感は今のところ近すぎず遠すぎずでちょうどいい感じだ。

40分ほどで店に到着。

老舗の洋食屋さん。まだ営業していてよかった

降りる時はご自分でどうぞ、と言うまでもなく降りて頂き、ドアはちゃんと優しく閉めてくれた。そして、降りるなり愛車の写真を撮る私を見て「暗いのにうまく撮れる?」と心配を。
「なんで自分のクルマの写真撮ってるの?」と言わないあたり、心得ていらっしゃる。でも、万が一そう言われた時のための返事は予め用意しておいた。
「習性なんです」

ーー食事の話は関係ないので略ーー

食後。
ここの県営駐車場は空いている。停められる台数も多い。目の前は海だしオフ会向きと言えよう。でも恐らく土日の昼間は大変なことになっているに違いない・・・

そんなことを考えていたら助手席のドアを開けてあげるのを失念した。ごめんなさい。駐車場から道路に出るところは坂道になっており、坂道発進しただけで「おお、半クラッチ!」と喜んで頂いた笑。「昔はみんな当然のようにこうやって運転してたんだよなぁ」だそうだ。ワインも入ってほろ酔い状態のKさん、葉山の曲がりくねった道で気持ち悪くさせてしまったら申し訳ないなぁ、なんて思っていたが、それは杞憂に終わった。いつもよりずっと気を遣って運転しているせいか、足が張る。

4速→3速→4速あたりのシフトチェンジを繰り返し(繰り返していたのには他にも理由がある)、Kさんの上体の動きを横目で確認する。それほどガックンなっていない。オーディオでジャズを流しているが、相手の声は心地いい距離で聞こえてくる。ルーテシアの密室性はいいのだろう。

もう我慢出来ないので結論を書いてしまおう。

やっぱりデートに愛車を使いたくない!

Kさんのことは少しも嫌じゃないけど、それとこれとは別。
相手がどうの、という問題以前に、とにかくデート目的でルーテシアを走らすのがどうも居心地が悪い。
我ながら何て頑固な女なんだとわかっちゃいるけど、この大切なクルマに誰かとの色恋沙汰を刻みたくない。これは恐らく簡単には理解してもらえない感覚だと思う。

私は愛車に関してはとことん守りに入っている。普段これだけ適当な人間なのに。

現時点で、ルーテシア愛のほうが大き過ぎるのだ。
それだけはよーーーくわかった。

ルーテシアは、一般的にはデートに向く。普通はラブな2人がラブを深めるためにデートをするのであり、その目的ならばルーテシアの車内の距離感はとてもいい。
アームレストのような国境の壁もないし、ほとんど存在感のないリアシートのおかげで、特に夜間はフロントシートの2人だけのリトルワールドを築くことも容易い。

MTだと1速は助手席側に近いので相手の周囲をウロウロすることになり、手を握るチャンスを狙っている人ならたやすく捕まえられるだろう。でも、シフトチェンジにかこつけて手を振り払うという技も使える。それを一回すると、相手は用心深くなり、「なんか操作に忙しそうだからちょっかい出すのはやめておこう」と思ってくれるかもしれない。だからMTは常にいちゃつきたいカップルにはおすすめしない。

私に限って言えば、「お相手<ルーテシア」である以上、デートには不向きだ。
これが>となる相手がこの先現れたらまた変わるのかもしれないけれど。

ルーテシアというクルマは、これまでの私の「ドライブデート」に対する考えを根本から変えてしまった。つまり「ドライブデートなんかしなくていい」という新しい気づきを私に与えてくれたのだった。助手席の相手より自分のクルマが気になる日が来ようとは・・・

Kさんには束の間のドライブを楽しんで頂けたようなので、それは良かったと思う。

 

「実録 ルーテシアはデート車なのか」に4件のコメントがあります
  1. こんばんは~

    Kさんは「彼ピッピ=友達以上恋人未満」なんでしょうか。同じ空間にいてもお互い感じていることは違うでしょうからね。Kさんはどう感じていたのでしょう。

    自動車学校でシフトレバーを探して「あった」と思ったら、それは柔らかな先生(お姉さん)のお手手でした。2,3回やったのにセクハラで訴えなかった先生ありがとう。

    1. こんばんは
      素敵な人ですが恋愛感情まではいかない感じです。燃え上がる情熱が私にはないのです。デートごっこが出来る関係を維持したいと私は思っていますが、あちらは恐らくそう思っていないでしょう。

      教習所の先生はおそらく慣れていらっしゃるでしょうから大丈夫だったんだと思いますよ。

  2. そうでしょうねぇ~(笑)
    やっぱりそうなりますよねぇ~(笑)

    でも、運転しているときのあなたの横顔ってね、Sexyよ^^
    きっとお友達はドキドキしたはずよ^^

    1. わかっていただける?この気持ち。
      友達を乗せる時には感じない居心地の悪さがあるんだよね。

      「運転しているときの横顔がSexy」って何の得(笑)
      ドキドキしてくれるのはいいけど、私はドキドキしないからダメなんだな

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