クルマで巡る美術館第6回は、徳川美術館(愛知県名古屋市)です。
今回は名古屋まで新幹線を利用し、そこから先は名古屋在住のルーテシア乗りのお友達が連れて行ってくださいました。
私の愛車と同じ、赤いルーテシアです。ただしこちらはスポーツグレードのRS。ドライブを楽しませて頂きました。
さて徳川美術館はその名の通り、尾張徳川家ゆかりのコレクションをメインに所蔵している美術館です。
到着すると地下駐車場は満車でしたが、5分も待たずに入庫出来ました。その名も徳川町という閑静な住宅街の中にあります。
レストランなども併設されているのでいくつか駐車場があるようですが、徳川美術館または徳川園の駐車場に停めることになります。地下駐車場から階段で地上へ。どうやら裏門のほうに出てきたようです。ダイレクションに従って歩いて行くと、近代的な建物が現れました。
有形文化財に登録されているそうです。
三つ葉葵がお出迎え。この紋を目にするといっきに徳川ムードが高まりますねぇ。私にとって徳川家のイメージはどうしても江戸になってしまうんですが、こちらは徳川御三家のひとつ。そして、東京にある紀尾井町の「尾」の字のお家ですね。家康の9男「義直」さんが始まりです。
現在は「天下人の城」と題された、お城メインの企画展を開催中。
入ってすぐのところに「家康着用」とされる甲冑が鎮座していました。ただしレプリカだそうで、ここは撮影OK。なぜでしょう、甲冑を見ると夜中に歩き出しそうで恐ろしい感じがします。
館内は外から見るよりずっと広く、じっくり見て回るなら時間に余裕を持ったほうが良さそうです。
刀剣はかなりの数が展示してあり、刀好きは訪れる価値がありそう。また、茶の湯、能舞台や書院造を模した展示空間など凝った内装もありました。私はどちらかと言うと戦国時代には疎いのですが、武将の書状の字の美しさ(特に花押を見るのが好き)に感心したり、工芸品や生地の手仕事のレベルの高さに驚いたり。名古屋周辺には大小のお城がいくつもあったんですね。お城からの出土品なども展示されていました。他にも江戸時代に制作された能面(正面からでなく、色々な角度から観察すると面白いです)や国宝の枕(初音蒔絵祝の枕)なども。婚礼調度品にはすべて葵紋が入っており、それだけでものすごく格調高く見えるから不思議です。
有名な源氏物語絵巻は簡単な複製が飾られていただけですが、徳川美術館と言えば源氏物語絵巻。誰もが一度は本や教科書で目にしたことのある有名な国宝ですね。ですが、ここの魅力はやはり大名コレクションなのだと感じます。
今回は全体的に美術品は少なめで、美術館と言うより博物館に近い展示内容でした。屏風なども合戦を描いたものが多く、このあたりの歴史がお好きな方は楽しめると思います。私は掛け軸や絵巻などの絵画をもっと見たかったのですが、刀剣などに比べると展示されている数が少なめでした。
そして、ここには「徳川園」という池泉回遊式の大名庭園を再現した庭園があります。
名古屋の中心部からさほど離れていないのに、まるで別世界。
そんなに広大ではないのですが、小川や滝などが配され、とても雰囲気の良いお庭です。この蒸し暑い中、涼むにはちょうど良いコース。夜8時まで開園しているようなので、ライトアップされた庭内を散策するのも素敵そうです。四季折々の風景が楽しめそうな、印象深い庭園でした。揺れる柳の木がとても優雅でしたね。
お城もそうですが、日本の文化は後世に遺すべき素晴らしい美しさと技術を持っています。燃えるお城の写真を見て、戦争によってそれらが破壊されたりするのはもうこれ以上繰り返して欲しくないと思いました。日本だけでなく、世界の文化遺産は世界全体で大事に守って行かなければ。
徳川美術館、国宝を9つも所蔵しているそうです。企画によってはまたこれからも訪れる機会があるでしょう。大名コレクションを現代に伝える貴重な美術館だと感じました。