クルマで巡らない美術館第15回は、太田記念美術館(東京都渋谷区)です。
浮世絵好きなら知らない人はいない、この小さな美術館。
場所は表参道を神宮前交差点から原宿駅方向へ30メートルほど歩き、右に少し入ったところです。
ついついここへ来ると買い物もしてしまう。今回は近所で買えなくなったシュウウエムラのアイテムを表参道ヒルズで浪費。スペインブランドMANGOも唯一の店舗が近くにあるので寄ってしまうし、以前ご紹介したギャラリーAMもすぐ近く。
さて、この美術館はとても小さな浮世絵専門美術館です。興味深い企画展が多く、私も年に3回くらいは訪れます。場所柄、外国人も多い。入館料は学割で500円。
今日の目的は小林清親(こばやしきよちか)の浮世絵です。幕末から明治にかけての浮世絵特集ということで行ってきました。浮世絵の歴史の中でも新しい時代ですね。洋装の人々の姿も多くなってきます。
彼の描く江戸の夜景がとにかく大好き。文明開化の波が押し寄せている江戸ー東京を詩的に描き出します。何点かご紹介しますね。
雨の夜。提灯の明かりが傘に透けていたり、濡れた地面に反射していたり。余分な物がないシンプルな場面であるにも関わらず、ストーリーがあります。映画のシーンみたいですね。
昔は御茶ノ水にも蛍がたくさんいたのですね。神田川に浮かぶ納涼船の灯もまたロマンティックです。私は現在風景画の課題を制作しているのですが、夕景を描いているので彼の光の表現法はとても勉強になります。本当は夜景を描きたかったのですが、ハードルが高すぎた・・・。
カップルのシルエット。向こう側にチラチラ見える家々の灯と川面に反射する光。なんて詩的な江戸の夜。現在の江戸の夜はギラギラなので、この時代の夜を見たかったなと思いますね。この2人はどんな関係なのだろうとか、男性のほうは帽子にステッキ持ってるからお金持ちなのかなぁ、とか妄想が炸裂します。
彼の作品は「光線画」と言われていて、文字通り光を巧みに表現しているのが特徴的。夜景好きの私にはたまりません。浮世絵も末期なこの時代。和洋折衷の派手な色合いの絵が多い中、彼の光と影の世界は最高にロマンティックです。
この美術館の館内は非常に薄暗いです。浮世絵なのでどうしても色が退色してしまいますから、それを出来るだけ抑えるためでしょう。ゆっくり見て回ってもあっという間に終わってしまいますが、毎回内容は濃いですね。次回の企画展は江戸の女装男装だそうで、これまた観る価値がありそうです。
地下には手ぬぐい屋さん「かまわぬ」もあり、様々な手ぬぐいが売られています。
美しい柄も多いので、装飾品としても使えそう。私も以前は愛車のリアシートに掛けていました。現在は同じ手ぬぐいでも、安野モヨ子氏の「さくらん」から花魁道中柄を掛けてあります。私はまったく興味ありませんがバーバパパやディズニーとのコラボレーション手ぬぐいなんかもありました。
浮世絵や江戸文化のお好きな方におすすめしたい小さな美術館です。