クルマで巡らない桃山展とフォーシーズンズホテル東京大手町

久々に、靴が2足必要なホテルへ出掛けて来た。

9月に開業したばかりだという、フォーシーズンズホテル東京大手町へ。

これまで宿泊してきた国内外のホテルで今のところ私のベストワンは、同じフォーシーズンズの京都だ。すべてが美しく、快適で、あれ以上のホテルは今のところまだ巡り会っていない。丸ノ内のほうは低層階で線路に近く、行き交う列車を上から眺められる点で鉄ちゃんには強くお薦めしたいロケーションではあるが華やかさに欠ける。

今回泊まった大手町は、ビューバスと眺望、そしてルーフトップレストランがお目当て。それからもちろん、夜景の美しいジムも。

こういうホテルは歩いて入るとちょっとカッコ悪いので、新橋からあえてタクシーに乗る。新しいホテルなのでタクシーの運転手さんはまだ知らず、住所を告げてナビをセットしてもらう。土曜日のオフィス街はクルマも少なく静かだ。

ホテルの車寄せには、アウディ、ポルシェ、マセラティ(多分)らの美しいクルマたちに混じって、黒塗りのアルヴェル系が鎮座。ミニバンも需要があるのだろうが、えー、なんか違和感。欧州の美しいクルマの中に並んでいると、顔の大きさと下品さが際立つなぁと思いながらタクシーを降りる。

荷物はそのまま部屋に運んでくれるので、身軽になってウキウキしながらレセプションへ案内されると、GO TOのせいか長蛇の列。しかも客層がファミリーホテルのそれだ。恐るべしGO TO。すると、「どうぞこちらへ」と誘導され、奥のパーソナルデスクに通された。ここは通常クラブフロアとかスィート利用客用のレセプションでは?さては、総動員しないと客を捌けないのだろう。部屋が準備されるのにまだ時間がかかるそうで、ウェイティングルームっぽいエリアにひとまず通される。

眼下には江戸。しかしこのペースだと、部屋に上がった時に荷物がまだ届いてないことも大いにあり得る。搾りたてのりんごジュースを飲んで待つこと20分、ようやくお部屋の準備が整いました、ということでカードキーを渡されてお部屋へ。コロナ対策でスタッフと客の必要以上の接触は避けているようだ。問題はない。

部屋に入ると、やはり荷物はまだ届いていなかった。

ここで確信する。
9月開業なのでスタッフのオペレーションが上手く回っていないことに加え、コロナ感染予防対策にGO TOで、いきなり多忙になったためにすべてがスムーズではないのだ。
これはフォーシーズンズと言えど致し方あるまい。スタッフは精いっぱいやっているのが伝わってきたので、細かいことは気にしないことにした。

それに、このお部屋。

私がホテルの部屋に求める重要アイテム、寝椅子がある。そして、皇居(というか自分的には江戸城)越しに見える新宿と、さらにその向こうに富士山が。
けっこう感動的だ。さっきのウェイティングルームとは逆方向になるのだろう。

そして、見て欲しい、このお風呂を。

ここ数年で最高レベルのお風呂が来た!

お風呂は夜の楽しみとして、まずはジムへ。

多くの高層ホテルのジムは、眺望の美しい場所に設置してある。
そして、多くの場合、誰もいないか、わずかな人数が利用しているだけだ。だから、江戸の夜景を静かに独り占めしながら体を動かせる。これを利用しない手はない。

予想通り、貸し切り状態。まあ、普通こんなホテルまで来てジムでトレーニングする人はあまりいないのだろうが、そこを狙ってる私としては満足だ。

シューズだけレンタルを。タオルがふかふかで気持ちいい。

このジムも例外ではなく、素晴らしい眺望。
マシンはどれも高そうな最新式らしく、普段通っているジムとは大違いだ。
ただ、筋トレ系のマシンは私が普段やるようなものはなく、ガチな人々が使うようなマシンばかりだったので素通り。バイクとクロストレーナーだけ、1時間ほどやってきた。

ロッカーはプール帰りの家族連れ(プールなら郊外のファミリーホテルのほうが絶対楽しいだろう!?なぜこのホテルのプールでなければならないのだ)で混んでいたので、部屋のシャワーを使うことにしてさっさとロッカーを出る。チェックインであの人数だったのだから仕方ない。

シャワーを浴びて、着替えてレストランへ。

スマートカジュアルというドレスコードが公式サイトに明記されている


レストランもやはりオペレーションがまだまだ上手く稼働していない。数日前に予約して行ったものの、入り口でかなり待たされる。そして通された席は目の前に女子会3名がおり、ひとつのスイーツを3人で分け合いながらキャッキャお喋りに夢中でちょっと辟易。窓の外を眺めようとすると、どうしても正面の彼女らの姿と談笑を見なければならなくなる。スタッフに「外で食べられるなら多少寒くてもいいから移動したい」と伝える。

10分後、めでたく外の席に移動。

公式より。明るいとこんな感じ。
私の席からはこんな風景が楽しめた。

眺望は最高だ。ちょっと寒いけど、ここはいい。高層ホテルにこれだけのルーフトップがあるのは珍しく、東京タワー、六本木、国会議事堂、新宿方面、池袋方面が横並びに見えるのは貴重。

皆さん、大人のデートに強力にお薦めですよここは。

部屋に戻り、BTスピーカーをお風呂に持ち込んでゆっくり入浴。
久々にふわふわした高揚感を味わうことが出来た。翌朝もまずお風呂。ともかく、この部屋はお風呂なのだ。バスソルトも2袋ちゃんと用意されている。ただ贅沢を言えば枕が欲しい。フェイスタオルを畳んで即席の枕にした。

予想していたとは言え、昼のチェックアウトもまた長蛇の列。一人一人の手続きに時間がかかっているのはキャンペーンのせいもあるのだろう。昨年まではこういった人混みの半分は中国人たちであったが、今は日本人の家族連れが多い。さすがに昨夜のレストランで家族連れは目立たなかったが。

フォーシーズンズ東京大手町。ソフト面はまだまだこれから改善されるだろうが、ハードはとても良かった。落ち着いた頃に再訪したい。8月に泊まった紀尾井町のプリンスギャラリーは人がいなくて確かに快適だったが、ホテル自体また行きたいかと言われたらNOだ。どこでもいいというわけじゃない。

しかし、やはり揺るぎないベストワンは今もフォーシーズンズ京都だ。

そして、上野へ。

お目当てはトーハクで開催中の「桃山展」。

狩野永徳の唐獅子屏風は後期展示

そのタイトルから想像出来る通り、絢爛豪華な屏風、襖絵、武将の肖像画、お道具類、刀、兜、甲冑などがものすごいボリュームで展示してある。まるでコロナで生じた赤字を補填したいんじゃないかと思うほど圧巻の展示だ。国宝はもちろん、どれも重要文化財クラスの品々。美術好きだけではなく、歴史好き、戦国好き、刀好きなら楽しめること間違い無い。御用絵師、狩野派制作によるド派手な大型作品(というか当時は俺ってすごいだろ権力アピールインテリア)は、金箔が当時どれだけキンキラキンだったかを想像して眺めると成金趣味以外の何物でもないことがわかって楽しい。

特に洛中洛外図屏風が好きな人は行くべきだろう。狩野永徳、岩佐又兵衛の本物を同時に拝める。私はそれほど好きではなく、どうしても「ウォーリーを探せ」を思い出してしまう。しかしながら特に又兵衛の人物の執念の描き込みは是非見て欲しい。京都の市中の人々があんなことやこんなことをしている。

他に長谷川等伯のぼんやりした松林図も出ている。誰もが教科書や雑誌で一度は目にしたことのある日本美術のメジャーな品々を拝める機会だ。

そんな内容だったせいか、ものすごく疲れた。本物の持つエネルギーは基本的に圧倒的だが、こんなドッカンドッカーンとでっかい派手な作品ばかり並んでいるとさすがにぶっ倒れそうになる。日本美術の傑作と言われる作品を見ると、どうしても筆致や絵具の剥落具合、制作の痕跡など、巨匠たちの仕事のやり方をまじまじと探して眺めてしまう。だから、余計に疲労困憊に。あまりに足がもつれるので、上野から大手町経由で新橋というルートにタクシーを使ってしまった。普段なら絶対やらない。

ホテルの風呂に現を抜かし、日本美術にクラクラし、そして自分の勉強はまたしても遅れるのであった・・・

「クルマで巡らない桃山展とフォーシーズンズホテル東京大手町」に2件のコメントがあります
  1. おひさし。
    フォーシーズンズは未だ未踏の地だ。。
    Kimptonも新宿にOpenしましたね。

    夏に、、まだGoTo前でしたが、今年OpenしたInterConti Yokohama Pier8 に泊まりました。
    開業直後にコロナで暫く休業させられてた、、ということも有り、不慣れなスタッフさんでバタバタ、、且つ不慣れなJapanese familyがそれに拍車をかける、、と。。
    Japanese familyも、中華touristsも大差無いなー、、とか感じる今日このごろ・・・

    1. 横浜に出来ましたねー、インターコンチ。あまり横浜に泊まることはない(なんか日常過ぎて・・・)のですが、
      やはりどこも新しく開業したところはバタバタなんですなあ。
      そうそう、客層も多分普段とは違いますでしょうしね。
      フォーシーズンズはお値段だけのことはあります。今回のバタバタを除けば、リッツ・カールトンより印象はいいですよ。
      フォーシーズンズで気が済んだせいか、今は都内の15000円/泊くらいの新規中堅ホテルに興味ありです。

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