活字飢饉

最近はずっと制作しているせいか、周りにある本もヴィジュアルメインのものばかり。ベッドサイドに山と積まれています。ヴィジュアルと言えば芸術新潮最新号の春画特集は超オススメ!春画好きの私でも目から鱗な解説と、腹筋がよじれるくらい笑えるアホっぽい作品なんかもあって、楽しく春画を学べます。しかも、肉筆(版画ではなく、絵師が筆で描いたもの)なので色が美し過ぎます。特集されている勝川春章さんは北斎のお師匠だったお方。北斎の変態具合はお師匠譲りだったのか?と思うような絵も。春画初心者の方も安心して江戸エロの世界へどうぞ。

それは置いておいて、活字の本に飢えています。
本はあります。制作の参考に読んでいる泉鏡花や雨月物語・・・クラシックですね。でもやっぱりkindle疲れるんですよ。
普通の本が読みたい!と思ってある日会社帰りに蔦屋書店へ寄りましたが何も買えずに帰ってきました。私は書店へ行くと情報過多で気持ちが悪くなります。ピンポイントで欲しい本を買うのであれば大丈夫なのですが、全部の書棚を見て回っていると気持ち悪くなってくるのです。あれも読みたいこれも読みたいと巡っているうちに疲れて挫折。片手間に読むならkindle本でもいいのですが、タップするのではなくちゃんとページをめくりたいのですよ、たまには。

かと言って自分の書棚に待ち構えている「ツァラトゥストラはこう言った上下」とかはまだ開く気になれません。課題本なのでいつかは読まなければなりませんが、今じゃない。一緒に買った「ニーチェ入門」も手付かず。そうじゃなくて、もっと気楽に読める本が読みたい!と書店へ行ってみるものの・・・本選びって難しい。大きな図書館が近くにあればなぁ、と思います。

性格が根暗なせいか笑、暗い話が好きです。
昔、夢中で読んだ松本清張。ああいう作風の本が読みたいですね。彼の作品は短編がわりと好きで、タイトルは忘れてしまったけど内容だけは覚えている物語が多いです。あのドライな筆致が必要以上に感傷的にさせないため、安心して読めるのです。今でも印象に残っている話は・・・若い青年が勤務先の会社の金を横領し、女と心中するために逃避行に出ます。その道中、汽車の中で向かいに座った品のいい老夫婦を見て、「俺たちもああいう風になりたいなぁ」と生きる希望を見出して旅の後に自首するのですが、その老夫婦(実はどこかの社長とバーのママ)は若いカップルを見て逆に心中を決意する、という哀しい皮肉なお話だったと思います。他にも交通事故と見せかけて殺人する話や、声で犯人がわかる話、妻と離婚したいがために妻が浮気するように仕組む男の話・・・センセーショナルな犯罪内容でないところがまた空恐ろしい。自分にも起こり得るかもしれない、と感じてしまう。そして、描かれる昔の日本の情景も今となってはロマンです。でも人間だけは変わらない。この世で恐ろしいのは人の心の闇だなあ、といつも感じます。

ネットもSNSも、出来るだけ自分の興味のある情報や親しい友人たちのニュースだけをピックアップして見るようにしているのですが、それでも「どうでもいい」情報も入ってきます。私は基本的に他人の動向には無関心なのでスルーしますけど、例えば最近の朝のニュースでも取り上げられるような有名人の不倫を我がごとのようにバッシングする人々って何なんですかね。メディアからの情報を盲目的に信じ、真贋の是非やそこにどんな事情があるのかなどの想像力も働かせずに一方的に「家族がかわいそう」とか「人間のクズ」とか、何様なんでしょう。こういう人たちがいる限り、暴くメディアも終わらないんだと思います。こういう人たちは特殊な宗教からの論理観とかがあるんでしょうか?それともただ暇なだけ?どちらにせよ私はそういうの嫌いです。

ってことで今後強化していきたいのは歴史小説です。そろそろ司馬遼太郎にも手を出してみたいのですが、吉川英治で挫折した私にはまだ早いのだろうか。どなたかオススメがあれば教えてください。ただし幕末モノはパス。

「活字飢饉」に2件のコメントがあります
  1. 本当に、芸能人の不倫とかどうでも良いんですよね。不倫に限らずプライベートな情報は一切いりません。熱愛とかどんなお宅にお住いかとかも。しかしどんな車に乗っているかは少し気になります。綺麗な部分だけしか見たくないですね~。

    ネットやSNSは便利ですが情報は触りの部分くらいしか分からないのが実際だと思います。同じ時間で本から情報を得ると大分濃いものが手に入ると思うんです。大事なことも本には沢山書いてありますね。やはり何でもお金をかけると良いものが手に入り、それは情報も同じことなのかなぁと。まぁあまり本を読まないからこそ珍しく本を読んで驚いたというだけなのですが。

    1. 本当にどうでもいいよね。全国ニュースで垂れ流す必要があるのか、と感じます。

      情報のフィルタリングは私の長年の課題というか、いかに自分の欲しい情報だけを入るようにするか、って難しいと日々感じています。
      その点、本はまったくその心配がないというか。それゆえ選択にとても迷ってしまうのですが、腰を落ち着けてじっくり本を読む時間は人生に必要なんだなあと改めて実感している今日この頃です。でも、書店へ行くとどうしても美術書コーナーで長い時間を過ごしてしまう笑。
      平積みされている胸キュンものを華麗にスルーするように、余分な情報もスルー出来たらいいんですけどね。
      お互いにこれからも本を読みましょう。

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