泣き過ぎて死にそうになった理由

サムネイルは西原理恵子さんの「パーマネント野ばら」(新潮文庫)の最初の見開きです。これは、私がここ数年で一番泣いた漫画。涙でページがしわしわになってます。実写映画のほうは江口洋介がカッコ良すぎてちょっと違う方向でしたが。池脇千鶴ちゃんがとても良かったけど。

さて、今や簡単に自分の部屋で映画が観られる時代。

それでも年に何回かは映画館へ行きたくなります。でも、観たい映画があるという前提が必要なので、これがなかなかね。

そんな私が久しぶりに観たいと思ったのは「彼女がその名を知らない鳥たち」

公開からだいぶたっているので、今はミニシアターでしか上映していません。うちの近隣では厚木です。あとは深谷シネマなんていうところでも!

横浜には「ジャック&ベティ」という素晴らしい映画館があるのですが、ものすごーく治安の悪い場所にあり、なかなか行く勇気が持てないのです。アクセスも不便ですし、クルマで行こうものならそこらじゅうに当たり屋がいそうで怖い。でも、上映されている映画は私の好みにかなりドンピシャリなラインナップ。昔はよく渋谷のBunkamuraのル・シネマで最新の欧州映画を背伸びして観ていたものです。逆に好きになれなかったシアターは岩波ホール。あそこは映画館じゃないですし、そもそも公会堂の視聴覚室レベル。でも、いい映画やってたんですよねぇ。近くのボンディーというカレー屋さんも美味しいんですよね。

それはさておき。鳥、というタイトルで思い出しました。

これまで私がもっとも泣きじゃくった映画、号泣し過ぎて死にそうになった映画が1本あります。それは

「冬の小鳥」ウニー・ルコント監督作品 2009年 韓国・フランス

 

 

意外にも韓国が舞台の映画なのですが、監督さんはフランス育ち。彼女自身の経験をベースにした物語なのですが、私は一生分の涙を流したのではないか、ってくらい泣きました。

物語自体はとても単純で、ある日、父親に連れられて1人の女の子が孤児院へ預けられます。そこでの集団生活を経て、彼女はフランスに養子としてもらわれていく、というストーリー。って書いてるだけでもう泣けてきた。

 

 

何がそんなに泣けるのか。
孤児院に入ることを少女は知りません。昨日まで大好きなパパと街で幸せな時間を過ごしていたのですから。パパが可愛いピンクのワンピースを着せてくれた上に、パパとお出かけ出来るのでとても喜んでいます。孤児院に入っても、いつパパが迎えに来るのだろうとワンピースを着て待ち続ける。でも、少女は悟り始めます。もうパパは迎えに来ないのだ、と。新しいママと赤ちゃんがいるから私は邪魔なのだ、と。孤児院で少女は少しずつ強くなります。パパを待つ自分を葬って、外国へ養子にもらわれいくことを決意します。優しそうなフランス人の里親とともにパリ行きの飛行機に乗る彼女は、あの日パパが着せてくれたワンピースを仕立て直して着ています。長いフライトの最中、彼女がシートにもたれかかって見ているのは、大好きなパパと自転車に乗っている幸せな自分の姿。その時の自転車のチリンチリンという音でさらに涙腺決壊の大洪水でした。

ってもうすでに涙で画面が見えません。

この映画で私ははっきりと、自分が重度のファザコンであると遅ればせながら認識しました。思えば、これまで人生で印象深い映画はだいたいファザコンの要素が入っているんですよね。例えば「髪結いの亭主」はかなり年の離れたカップルの話ですし、「ダメージ」は婚約者の父親と関係する女の話だし、「ベティ・ブルー」も「ラストタンゴ・イン・パリ」も一回り以上年齢が離れた男女の話ですし。以前ご紹介した「グランプリ」も、イヴ・モンタン演じるおっさんドライバーにハートを射抜かれたしね。小説や漫画もそうです。次回取り上げようと思っているマンディアルグの小説もヒロインの愛人はおっさんだし、大好きなデュラスの「ラ・マン」もそう。極めつきは中学時代の愛読書だったサガンの「悲しみよこんにちは」など今にして思えばファザコンの真骨頂ではないですか。

映画に話を戻すと、淡々と描かれる灰色の孤児院の風景がその辛さに拍車をかけてきます。それはまるでドキュメンタリー映像のよう。この映画は大森のミニシアターで観たのですが、終わった後も中々席を立てなくて困りました。これまで席を立てなかったのは「ダンサー・イン・ザ・ダーク」がありますが、あれは鬱々として気分が地の底まで沈みこみ、現実に戻れなかったせいなのでちょっと違います。

ピンクのワンピース、パパが履かせてくれたピカピカのよそ行きの靴とか、白いタイツとか、もうそういったディテールがいちいち泣かせるんです。多分ファザコンじゃない普通の人が観てもそこまで心を揺さぶらないのかもしれませんがファザコンには危険な映画。でも、一生大切にしたい映画でもあります。もう一度観る勇気は、まだありませんが。

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泣き過ぎて死にそうになった理由” への2件のフィードバック

  1. DRIVER "A" のコメント:

    ひろさん意外と?涙もろいのですね。普段のクールなイメージからは想像つきません。レミゼで号泣されましたか。
    私も若い頃から映画などでけっこう泣いてしまうタイプだったのですが、年齢を重ねるにつれてますます抑制が効かなくなってきた感があります。
    ちなみに怒る時も泣きながら怒るタイプです笑。

  2. HIRO@LUTECOCO のコメント:

    冬の小鳥。あぁぁ、こちらの紹介だけでも泣けそうな映画ですね。私の場合あらゆる映画で泣くのですが。下手をするとテレビのアンビリーバボー内の再現ドラマでも。家族愛ものに弱いです。レ・ミゼラブルでもえらい号泣したのでヒュー・ジャックマンは私にとって特別な俳優さんです。歌声もたまりません。

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