ニッポンのエロ(ス)がいい

※本記事はややR18です。

富士スピードウェイの次は「エロ」。どういうサイトなんだかわからなくなってきましたね笑。いいんです私の個人サイトですから何でもアリで。

私がこれまで観た日本のエロ映画(性愛をテーマにした映画)の中で頂上に君臨しているのは「愛のコリーダ」(大島渚監督作品)です。ベストワンというか、もう突き抜けて大好き。日本最高のエロ映画にしてエロ最高傑作だと思っているほどです。エロ映画であれだけ号泣したのは後にも先にもありません。というかもうエロを通り越して「女にとっての真の快楽とは何ぞや」ということまで真剣に考えさせられる深い作品でした!

私は「セクシー」という言葉よりも「色気」という言葉のほうが好きなのですが、ニッポンのエロ映画には昨今のいわゆるAVにはない画面から溢れてくる「艶のある湿っぽさ」=色気を感じ、私はそれがとても好きなのです。フィルムだから余計にそう感じるのかもしれません。「官能」だとちょっとお上品過ぎて違和感があるので、やっぱり「色気」が一番しっくりきます。まあ平たく言えばエロいってことですけど。

ということで、日活ロマンポルノです。昔はピンク映画とか言ってたのかな?私の年代よりひと周り以上の年代なら、青春時代にお世話になった方も多いかもしれませんね。

当然リアルタイムでは観ていません。でも、たまに小規模映画館でリヴァイバル上映していたり、TSUTAYAでも借りられますし、鑑賞することはそれほど難しくありません。今年は作品制作の下敷きとしてニッポンのエロ表現についての見聞を広げたいと真剣に思っているので今後も折を見て鑑賞していきたいと思います。特に70年代の作品が良さそうです。

今回は「四畳半襖の裏張り」(1973年 神代辰巳監督作品)

予告編がありました。

 

原作は永井荷風「四畳半襖の下張」だそうです。荷風の「墨東綺譚」は本も映画も大好きだったので期待度MAXで鑑賞しました。

大正時代の東京。人力に乗って料亭へ向かう芸者・袖子のオープニングからもう世界に引き込まれます。芸者と言っても実質遊女ですね。客と床入りがお仕事。艶っぽい三味線と唄が気分を盛り上げます。着物の色の組み合わせの何と美しいこと。

年増から見習いの少女まで、4人の芸者(しつこいようですが実質遊女)の物語がランダムに入り組んだ映画で、これと言ってはっきりした起承転結はありません。ひたすら画面から流れ出る湿っぽさを楽しむ映画だと私は感じました。時々黒バックに字幕が出てくるのですが、それがごもっともな矜持で可笑しいんです。例えば「男は顔じゃない」「初会の客には気をやるな」「3度の飯は女房だが、立ち食い蕎麦にも忘れられない味がある」「好きものの奥義はこらえること」等・・・

薄暗い和室、蚊帳、湿気を含んでそうな安っぽい布団、虫の音、赤い襦袢・・・それだけでもう美しエロい。そして、見習いの少女が卵のような白い球体を脚の間に挟んだまま雑用をしたり、「吹き戻し」を挟んで下腹部に力を入れてピロロ〜っとやる訓練をしたりは結構なシュールさ。こういったほんの少しのアホらしさがスパイスになっていることも重要。当時は客を悦ばす訓練として当たり前だったのかもしれませんが・・・

Wikiによれば、日活ロマンポルノっていくつかの条件を満たしていれば監督が自由に制作出来たようですね。錚々たる監督の名前が並んでいます。「スクリーン映えするエロ」って、最近ではあまりお目にかかれない気がします。

遊び人であるイケメンが一応の主人公なのですが、今で言う高良健吾くんっぽい風貌の方でした。この時代は当然ながら知らない役者さんばかりなので。最近思うのですが、どんな男性でも和装すると3割増でいい男に見えますね。

私は江戸吉原オタクなので、まだ当時の風習が残っている赤線文化に非常に惹かれます。この作品も日活ロマンポルノとは言え、私にとっては文芸作品と何ら変わりはありません。私個人の感覚では、女のハダカはやはり男性が撮るのがいいと思います。女が表現する女のエロは、なんつーか「エロス」であって「エロ」じゃないような気がするんです。上手く説明出来ないんですけど、この2つは私にとっては違うもの。エロは外に向けられていて、エロスは内側に向けられている、というような。だから女も男を撮ればちゃんとエロになるのではないかな?なんて思って女性の写真家の作品や女性縄師の作品なんかも観ましたが、やっぱりエロスなんですよね。だから、女のエロを表現出来るというのはもしかしたら、男性の一番の特権なのかもしれない、なんて思いました。

「ニッポンのエロ(ス)がいい」に2件のコメントがあります
  1. 凄いふり幅。笑 ロマンポルノの時代の方が今よりずっと色気が感じられます。見せ方も、隠すことで倍増するものがあるのだなぁと感じました。

    1. さすが私のお友達! そうなんですよ、むしろ絡みそのものより「空気感」だとか「露わにならない部分」で色気を感じます。音楽であったり画面の色味であったり、ロマンポルノって言葉自体が後ろ暗い感じがしていいですよね。私はエロと芸術は相反するものじゃないと思っているので(よくある芸術か猥褻か議論はどうでもいい派)これからも探求していきたいと思います。

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