久々に映画の話題といきましょう。
夏に「ザ・メンタリスト」のファイナルシーズンをいっき見したことから、そう言えばサイモン・ベイカーがニコリともしない役で出演しているこの作品を思い出し、改めて見直してみましたが、やはりイイ!
お話はリーマンショック前夜のマンハッタンが舞台。大手投資銀行の大量リストラシーンから物語は始まります。リスク管理部に所属する若きアナリスト、ピーターはリストラされた上司から別れ際にUSBメモリを渡され「用心しろよ 」と意味深な言葉を投げられます。
残業の最中、好奇心からそのデータを解析したピーターは、このままではすぐにでもMBS(不動産担保証券)の損失が会社の総資産を上回ることに気づきます。リーマンショックがモデルのお話なのですが、あの時実際こんな感じだったのかもしれない、と思えるほど臨場感のある作品。話はあっという間に取締役会までいき、真夜中に対策が話し合われます。「とにかく売りまくれ」というトップの命令が下りますが・・・
もはや私たちにはよくわからない規模の金額、もっと言えば世界市場に重大な影響を及ぼす出来事も、結局は人間のちょっとした見逃しや「言った・言わない」が原因だというのが皮肉です。
この作品の見どころは2つ。
まずは、これぞザ・ニューヨーク。若い社員達が話す桁違いの収入。容赦ないリストラの告知。利益を生むことが正義。そして、無機質で美しいマンハッタンの夜景。それは夜中でも休むことなく稼働するコンピュータのモニターの光にも似て。そんな映像にショパンの「 雨だれの前奏曲」が流れるシーンがあり、私がこの作品を大好きになった理由のひとつがそれ。
そして、わたし的に最大の見どころは、大好きなおっさんだらけなこと!
昔から「骨抜きにされたい 」と思い続けているジェレミー・アイアンズ様を筆頭に、ケヴィン・スペイシー、サイモン・ベイカー、スタンリー・トゥッチ…目と妄想の保養。若いイケメンだけが男じゃない!
しかも皆さんビシッとスーツ。画面見ながらあはんあはん言っちゃいます。紅一点のデミ・ムーア姐さんまで男前です。「ゴースト」の頃は可愛かったのに。
「ザ・メンタリスト 」ジェーン役のサイモン・ベイカーが演じる狂気を孕んだ冷酷役員にも惚れ惚れ。いかにもこんなタイプが出世しそうな世界。
ジェレミー・アイアンズ様は相変わらず枯れた色気満載。どんな役でも英国風の気品が漂っているところがまた素敵。
他にもスタンリー・トゥッチは言うなれば理想のスキンヘッドだし、ケヴィン・スペイシーは近所にいそうな濃いめなおっさんだし、ホントに眼福です!でも、作中ではこの2人がもっとも人間らしい葛藤を見せるんですよね・・・
湿っぽい描写を一切排除した作風、自分ならどうするだろうか、と思わず考えてしまう結末。地味な作品ですが見応え充分。
主人公ピーターの先輩ウィルは年収250万ドルのトレーダー。給料の使い道を後輩たちに教えるシーンがあります。
「まず半分は税金で持っていかれる。残りから家のローン、クルマ代、服代、食事代、飲み代に女代、両親に仕送り、残りは貯金さ」
そのクルマがこれ。
Fugupedia先生に伺ったところアストンマーチンDBSヴォランテまたはDB9ヴォランテっぽい、とのこと。およそ住宅1軒分。見た目はわりとシックで素敵ですよね。いい音してました。
私がマンハッタンに滞在していた時、朝、ホテルの部屋から眼下の通りを眺めていると、スーツ姿の人々が足早に通勤しているのがよく見えました。みんな本当にコーヒー片手に歩いてるんだ!とか妙なことに感動したりして。自分はただのツーリストなんですけど、あの街にいるといかにも世界の中心にいるような高揚感を味わえる。また行きたいですね。元気をもらえる街です。